Google、履歴追跡問題で17億6000万円支払いへ
2012/08/10 海外法務, 外国法, IT
事案の概要
米グーグル社がWebブラウザ「サファリ」の履歴を追跡していた問題で、米連邦取引委員会(FTC)は9日、同社が消費者に事実と異なる説明をしていたと発表した。グーグルは2250万ドル(約17億6000万円)の民事制裁金を支払うことに同意し、FTCと和解した。
この問題は、米グーグル社が米アップル社のスマートファン「iPhone」などに標準装備されているネット閲覧ソフト「サファリ」に向けて、利用者の閲覧履歴を追跡できるようにする特殊なプログラムを送り込んだというもの。アップル社のパソコン「Mac」やスマートフォン「iPhone」などに標準装備されている「サファリ」では、初期設定では第三者による履歴追跡を拒否できる設定になっている。しかし、今年2月、スタンフォード大学セキュリティ研究所の学生の公表した調査結果により、グーグルは特定の条件下でこの設定を迂回する方法を利用して、ユーザーのWeb履歴に関する情報を収集していたことが発覚した。グーグル社は、サファリユーザーに対して、初期設定ではユーザーのWeb履歴を追跡することはないと説明していたが、FTCはこの説明は事実と異なるとして問題視。さらにグーグルの行為は、昨年10月にFTCと合意した和解条件に違反すると判断し、今回の和解金の支払いに至った。
コメント
和解金2250万ドルの支払いは、一つの企業がFTCに対して行うものとしては過去最高額である。昨年378億ドルの売り上げを誇ったグーグル社にとっては直ちに痛手となるものではない。しかし、FTCには消費者のプライバシーを保護する姿勢があることを、内外の企業に対して強く伝えるメッセージとなったと捉えることができる。スマートフォンなど情報端末が行き渡ると、企業や組織が個人情報を収集することがより容易になる。ユーザーのプライバシーを保護するための制度的担保が迫られている。
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