ダイナム、香港証券取引所へ上場 パチンコホール業界の今後は
2012/08/23 商事法務, 会社法, エンターテイメント
概要
今月6日、パチンコホール運営会社としてマルハンに次ぐ第2位のダイナムジャパンホールディングスが香港証券取引所に上場した。今回の上場により同社は約160億円の資金調達に成功したことになるが、売上高9000億円、営業利益300億円という経営規模を誇る同社にとってはさほど巨額とは言えない。今回の上場からはむしろ、株式上場を契機に、つきまとうネガティブなイメージを払拭したいと考える業界全体の苦悩が伺える。香港証券取引所にはマカオのカジノ運営会社も複数上場を果たしており、ダイナムが香港を上場先に選択した背景にも、類似産業に対する寛容さがあると見られる。
そもそも、何故パチンコ「ホール運営会社」だけがこのような問題を抱えるのか(パチンコの筐体メーカー等は多くが上場を果たしている)。この問いを理解する為には、日本におけるパチンコ業界の営業形態を把握する必要がある。
「三店方式」
日本では賭博行為は禁止されており、賞品として現金や有価証券を提供することは禁止されている。そこで、この規定を回避する為に、ホール、景品交換所、卸問屋の三店による以下のような仕組みが存在する。
1.ホールが卸問屋から景品を調達
2.客が出玉を景品と交換
3.客が景品を景品交換所に持ち込んで換金
4.景品交換所に持ち込まれた景品を卸問屋が買取
(以下、繰り返し)
この「三店方式」により、ホールから客に対して直接に現金が提供されることはない為、賭博行為には当たらない…というのが、今現在日本でパチンコが存在しうる論拠である。しかし、「実質的には賭博ではないか?」と言われれば反論が難しく、いわゆるグレーゾーンにあることは間違いない。
コメント
これまでに、日本国内でも幾度となくパチンコホール運営会社が上場申請を行い、その度に阻まれてきた。理由は明らかにされていないが、パチンコ業界自体の適法性が問題となっていることは間違いない。
この問題は、日本におけるギャンブルのあり方そのものを問い直す契機となりうる。韓国のように、パチンコが違法である旨を法律で宣言するか。アメリカのように、企業倫理の適正さを前提に産業の一つとして存在を認めるか。日本国内の現状を見ても、他の公営ギャンブルやオンラインカジノ、コンプガチャなどとの整合性が問題となりうる。パチンコホール業界側も、これまでに社会的地位を高めるための努力を続けてきたことは紛れもない事実である。ダイナムは委員会設置会社として監査の経営からの独立性を確保している他、非上場であるにも関わらず決算を四半期ごとに公表している。
こうした現状を踏まえ、社会としてどうギャンブルと向き合うかを考え、明確な姿勢を打ち出す時期に来ているのではないだろうか。
関連コンテンツ
新着情報
- ニュース
- 外国人雇用の理由「労働力不足の解消や緩和」が60%超 -厚労省2025.1.7
- NEW
- 厚生労働省が日本で働く外国人についての調査を初めて実施し、その結果を公表しました。 その中で...
- まとめ
- 中国「データ越境移転促進・規範化規定」解説2024.4.23
- 中国の現行法令上, 香港・マカオ・台湾を除く中国本土内(「境内」)から境外への個人情報等の移転...
- 解説動画
- 加藤 賢弁護士
- 【無料】上場企業・IPO準備企業の会社法務部門・総務部門・経理部門の担当者が知っておきたい金融商品取引法の開示規制の基礎
- 終了
- 視聴時間1時間
- 解説動画
- 江嵜 宗利弁護士
- 【無料】今更聞けない!? 改正電気通信事業法とウェブサービス
- 終了
- 視聴時間53分
- セミナー
- 五反田 美彩 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所/第一東京弁護士会所属)
- 林越 栄莉 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所/第二東京弁護士会所属)
- 【オンライン】インフルエンサーに必要な法務知識とは?
- 終了
- 2024/11/27
- 12:00~13:00
- 業務効率化
- 鈴与の契約書管理 公式資料ダウンロード
- 業務効率化
- Lecheck公式資料ダウンロード
- 弁護士
- 目瀬 健太弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- 弁護士
- 平田 堅大弁護士
- 弁護士法人かなめ 福岡事務所
- 〒812-0027
福岡県福岡市博多区下川端町10−5 博多麹屋番ビル 401号