「ビアンキ」自転車事故で欠陥認め、輸入会社に1.89億円賠償命令
2013/03/27 消費者取引関連法務, 製造物責任法, その他
事案の概要
イタリアのブランド「ビアンキ」の自転車を走行中に前輪が外れ転倒し重い障害が残ったとして、茨城県つくば市の中島寛さん(63)側が輸入会社サイクルヨーロッパジャパンに損害賠償を求めた訴訟で、東京地方裁判所は自転車に製造物責任法(PL法)上の欠陥があったことを認め、輸入会社に約1億8900万円の支払いを命じた。
中島さんは、2002年に自転車を購入。2008年8月、通勤中に前輪が脱落して転倒し、頚椎を損傷するなどして、首から下がまひする重い障害を負った。
今回の訴訟では、(1)事故原因、(2)自転車の欠陥の有無、(3)男性側の過失の有無などが争われた。
判決は、目撃証言などから自転車のサスペンションが分離し、前輪が脱落したと事故原因を認定。「保管やメンテナンスの状況を考慮しても、通常有すべき安全性を欠いていた」として、製造物責任法上の欠陥があったことを認めた。
中島さんが購入から事故までの約6年4カ月、点検やメンテナンスを受けていなかったことによる過失相殺は、損害額の1割に留まった。
中島さん側によると、同種事故は国内外で6件発生。台湾の業者が製造した同型のサスペンションは他社でも使われており、国内で推計10万台分が出回っているという。
サイクルヨーロッパジャパンは「主張が認められず、誠に残念だ」とのコメントを出した。
コメント
「製造物責任法(PL法)の基本的考えは、「客観的に見て製品に欠陥があれば製造業者等は賠償責任を問われる」というものである。製造業者等の中心になるのはメーカーだが、輸入品の場合には、同法第二条三項により輸入した者が製造業者等に該当する。
主な理由は、被害者が海外メーカーを直接訴えることは困難なため、輸入者が責任を負わなければこの法律の本来の目的が果たせなくなるからである。
参考資料
【製造物責任法】
(目的)
第一条 この法律は、製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に係る被害が生じた場合における製造業者等の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。
(定義)
第二条 この法律において「製造物」とは、製造又は加工された動産をいう。
2 この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。
3 この法律において「製造業者等」とは、次のいずれかに該当する者をいう。
一 当該製造物を業として製造、加工又は輸入した者(以下単に「製造業者」という。)
二 自ら当該製造物の製造業者として当該製造物にその氏名、商号、商標その他の表示(以下「氏名等の表示」という。)をした者又は当該製造物にその製造業者と誤認させるような氏名等の表示をした者
三 前号に掲げる者のほか、当該製造物の製造、加工、輸入又は販売に係る形態その他の事情からみて、当該製造物にその実質的な製造業者と認めることができる氏名等の表示をした者
(製造物責任)
第三条 製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第三項第二号若しくは第三号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が当該製造物についてのみ生じたときは、この限りでない。
(免責事由)
第四条 前条の場合において、製造業者等は、次の各号に掲げる事項を証明したときは、同条に規定する賠償の責めに任じない。
一 当該製造物をその製造業者等が引き渡した時における科学又は技術に関する知見によっては、当該製造物にその欠陥があることを認識することができなかったこと。
二 当該製造物が他の製造物の部品又は原材料として使用された場合において、その欠陥が専ら当該他の製造物の製造業者が行った設計に関する指示に従ったことにより生じ、かつ、その欠陥が生じたことにつき過失がないこと。
(期間の制限)
第五条 第三条に規定する損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び賠償義務者を知った時から三年間行わないときは、時効によって消滅する。その製造業者等が当該製造物を引き渡した時から十年を経過したときも、同様とする。
2 前項後段の期間は、身体に蓄積した場合に人の健康を害することとなる物質による損害又は一定の潜伏期間が経過した後に症状が現れる損害については、その損害が生じた時から起算する。
(民法 の適用)
第六条 製造物の欠陥による製造業者等の損害賠償の責任については、この法律の規定によるほか、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の規定による。
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