株主総会レポート GMOインターネット株式会社 その3(質問中編)
2012/04/06 商事法務, 総会対応, 会社法, IT
GMOインターネット株式会社 「すべての人にインターネット」
はじめに
引き続き、GMOインターネット株式会社 第21期定時株主総会のレポートを書いていきます。今回は株主総会での質問、回答の中編です。
質問④
質問者
「御社の基幹事業であるWEBインフラ・EC事業についてです。営業利益が売上高に比べ鈍化しているようですが、ドメイン取得事業やレンタルサーバー事業など、個々の事業について伸びがいいもの、足を引っぱっているものといった傾向を教えていただきたいと思います。」
「株式を所有していない役員の方が何名かいらっしゃるようですが、それはどうお考えですか。」
熊谷氏
「ご質問ありがとうございます。WEBインフラ・EC事業の営業利益が鈍化しているというご指摘でしたが、確かにその通りでございます。WEBインフラ・EC事業というものは、年ベースまたは月次の契約の商材が多く、年々契約件数が増えていけば収益が増える、或いはインターネットの情報が増えれば収益が増えるといった事業構造でございます。ただ、十数年この事業を展開しておりますと、一部の商材が競合さんと比べて陳腐化、スペックが劣るといったこともございます。また、全体の流れとして、クラウドの流れが出てまいりました。あと、特殊な事例ではございますが、GMOグローバルサインにおいて、昨年度の秋ごろハッキングの可能性が発生いたしました。現実には何もなかったのですが、その部分に対する調査、再投資などがございました。以上申し上げた3つの大きな状況がございまして、SGA(販間費)の増大を招き、利益の伸びが鈍化したように見えております。ただ、足元では、全商材が業界ナンバーワンスペックになっていること、クラウドに対する投資も一巡したこと、GMOグローバルサインにおけるインシデント対応も治癒していることから、利益を含め非常に良い状況であります。したがって、WEBインフラ・EC事業における売上高、利益の成長はご心配をいただかなくてもよいと申し上げておきます。今期の業績を是非ご覧になってください。」
「2番目の所有株式の件についてですが、インサイダーの対応等がございましてなかなか役員が買うチャンスがないという状況でございますが、皆様のお気持ちをわかるためにも持たなければならないという点に関しましては、私もまったく同感でございますので、野村証券様を通じた自社株の累投という制度を利用して買うようにしてまいりたいと思っております。ということで皆さんよろしくお願いします(役員の方に向かって)。」
質問⑤
質問者
「当社の従業員の状況という点についてです。平均勤続年数が4年と少し短いような気がするのですが、先ほど100年単位という長いスパンで存続、成長していくというお話でしたが、実際のところどの程度の勤続年数の方が御社の基幹部分を支えているのかといったことをお聞かせいただければと思います。」
熊谷氏
「ご質問ありがとうございます。平均勤続年数は一見短く見えるのですが、人数が指数関数的に増えておりまして、後から入ってきた方が多くなっていることから、平均すると短くなってしまうということでございます。特に幹部層におきましては、流動化は極めて低く、現在の役員の中でも、私と20年近く一緒に活躍してくれている仲間、10年単位の仲間
もおります。また、スタッフの仲間達におきましても、流動化に関しては、一般の企業と比べ遜色は全くないと考えております。スタッフは仲間、家族であるとスピリットベンチャー宣言に書いております。お客様にナンバーワンサービスを提供してお客様が笑顔になる。お客様が笑顔になり、我々スタッフが笑顔になる。この笑顔の循環がぐるぐる回って結果として利益が出て、株価を通して、或いは株主優待を通して、株主の皆様も笑顔になる。私は、会社はかかわる皆様が幸せになるための道具だと本気で思っておりまして、仲間を非常に大事にしております。私は、2007年度に事業を失敗いたしまして、400億近い損失を出し、皆様にご迷惑をお掛けいたしましたが、やっと福利厚生に力を入れる余力が出てまいりました。昨年度も、どうせやるのであれば日本で一番の福利厚生を実施したいということで、GMO Yoursという24時間運営しております、無料で食事のとれる社員食堂を開設いたしました。同時に、結婚して出産する女性の戦力もインターネット業界では非常に貴重でございますから、GMO Bearsという託児所を開設しております。また、仕事の疲れを癒してもらうために有料ではございますが、GMO BALIRELAXというマッサージスペースも用意しております。これらの施設も、ひとえに仲間に笑顔になってもらいたいという思いからでございます。そのような形で、本当に仲間を大事にする企業グループでありたいと思っておりますし、あり続けたいと思っておりますので、平均勤続年数については今後一定量の規模に到達したところから徐々に伸びてくるものと考えております。是非、ご安心いただきたいと思います。」
質問⑥
質問者
「新ドメイン事業についてですが、これがどのように収益化に結び付くのかということについて教えていただきたいと思います。」
「くまポンがシェアリーと提携したということなのですが、その後何か変化があったのかということを教えてください」
熊谷氏
「新ドメイン事業についてですが、私どもは現在国内に300万件、ドメインのご登録をいただきまして、お預かりしております。毎日、多い時では1万件、少なくても4,5千件のご登録をいただいている事業でありまして、国内で最大の登録事業者は当社となっております。インターネットの住所であるドメインは来年度をめどに、新しいドメインが世界中で認可される方向性となっております。例えば、「.canon」などの企業名、「.tokyo」「.newyork」などの地名、或いは私どもが申請しようと考えている「.shop」というような文字列が数百または千程度増えることが想定されております。私どもはドメインの登録におきまして、国内でトップシェアをいただいておりますので、この新ドメインに関しましても、ドメインの登録の大本のレジストリー事業(ドメインの卸事業)の領域に参入することを表明しております。現状といたしましては、東京都からご支持をいただきまして、「.tokyo」の申請、横浜、名古屋、大阪の申請をさせていただきたいと思っております。大阪においては支持をいただいた会社が2社ございますので、今後調整という形でございますが、東京、横浜、名古屋においては単独申請をいただいております。京都に関しましても、申請をいただいたある企業様がございまして、その企業様の裏方として私どもがお手伝いすることになっております。その他、2桁の日本を代表する国際的な企業の方々から、企業名におけるドメインの申請のお手伝いのお仕事をいただいております。そして、私たち自身も、「.shop」という文字列を申請し、この申請が通りましたら、私どもが持っておりますショッピングカートの事業とセットで、世界中で、カート付きの「.shop」というドメインを販売しようと思っておりまして、私どものWEBインフラ・EC事業の国際戦略の一つに位置付けております。現状、このような状況でございまして、非常に収益性の高いビジネスかつ、競争力のあるビジネスでございますので、来年再来年に関してはこの事業が大きく収益に貢献してくれるものと思っております。」
「2番目のくまポンとシェアリー様との提携についてでございますが、現在まだテストフェーズではございますものの、クーポンの掲載数も大幅に増え、売り上げも徐々に上がっております。しかしながら、クーポン事業そのものは薄利多売であること、シェアリー様との提携によりましてプロフィットをシェアしておりますので、収益貢献という点ではまだこれからでございます。ただ、くまポンの事業を開始した時に、目先トップ3に食い込んで、その後ナンバーワンを目指しますと公約した通り、現場が一丸となって公約に向けて意識高く動いておりますので、一緒に見守っていただければと思っております。質問ありがとうございます。」
次回予告
次回も引き続き質問、回答の続きを書いていきます。よろしければ、ご覧ください。
関連リンク
株主総会レポート GMOインターネット株式会社 その1はこちらから
株主総会レポート GMOインターネット株式会社 その2(質問前編)はこちら
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