業務提携・資本提携・経営統合・合併などまとめ
2016/11/10 M&A, 戦略法務, 会社法, その他
初めに
近日、コカ・コーラグループと、キリンホールディングスが、清涼飲料事業で資本業務提携する方針を固めた。さらにトヨタとスズキは業務提携に向けた検討をすると発表している。また日産自動車と三菱自動車は資本提携を締結した。業務提携、資本提携とはどのように異なるのか。一方で、ファミリーマートとサンクスは経営統合という手法をとった。出光興産と昭和シェルは経営統合・合併を延期すると発表した。そこで業務提携、資本提携、経営統合、合併について整理したい。
業務提携
業務提携とは、ビジネスについて複数の企業が特定の分野に限定をして提携関係を結ぶこと。その内容は多岐にわたり、互いに顧客を紹介するなど営業面で協力するといった緩やかなものから、共同で製品やサービスを開発する、人材を相互に行き来させるといった濃密なものまである。技術開発・供与、生産、資材調達、物流、人材交流、販売促進など、さまざまな提携方法がある。相互の企業が経営的には独立性を保ちながら協力し合うというところを特徴とする。ここでは生産提携、販売提携、技術提携について掲載する。
企業にとってどれが有効かは、自社の意図、強み・弱みによる。業務提携で未来を拓く (出典 日本総研)
〈参考サイト〉
業務提携契約書書式例 (出典 行政書士那須法務事務所)
業務提携契約書作成のポイント (出典 創業手帳)
業務提携で活路を開く方法 (出典 コンサルBank)
業務提携契約書で注意すべき7つのポイント ! (出典 SHARES LAB)
業務提携の注意点について (出典 弁護士法人太田・小幡綜合法律事務所)
生産提携
生産提携とはある企業が受託者となる企業に対して生産の一部や製造工程の一部を委託すること。委託者側にとっては、生産提携により生産能力を補充することが可能となる。ある製品に対する需要が好調で、自社の生産設備や人員では生産能力が追い付かないという状況において、生産能力を持つ他企業に委託をすることでメリットになり、受託側企業には生産量を増やせるために設備稼働率を向上させられる。他社へ委託する場合には、品質保持の観点から製造仕様書による詳細な指示や管理が必要になる。
雛形でチェックする生産提携契約書(OEM契約書)作成のポイント (出典 創業手帳)
販売提携
販売提携とは、パートナー企業同士で販売上のメリットを相互に提供しあうことをいう。
技術力や商品力はあるが販売・営業力やノウハウを持たない、あるいは弱い企業や、新開発商品、新規分野などで販売ルートを持たない企業などがすでに販売ルートや販売ノウハウを持っている企業に販売を委託する場合に有効である。
雛形で学ぶ!販売提携契約書(販売委託契約書/代理店契約書)入門 (出典 創業手帳)
技術提携
企業が共同で技術開発を行う場合と、既存の技術を供与するケースがある。技術の専門化、複合化が進むことで専門分野に特化した一企業だけでは新たな技術開発できない場合などに、複数のメーカーがお互いの技術や人材を持ち寄り、ある特定分野の技術を協力して開発していくなど相互協力することで新たな技術開発の可能性やスピード性を高める。また開発費用のリスク分散が図れる。
雛形で学ぶ!技術提携契約書入門(出典 創業手帳)
業務提携の進め方
業務提携の具体的な進め方は主に以下の通りとなる。
①相互の互恵関係を構築するなど目標確認をする。
②業務提携で提供する自社のモノ・サービス・ノウハウなど、自社の何を武器に業務提携を進めていくのかの整理する。
③自社の武器を手掛かりに互恵関係を考慮して業務提携先を選定する。
④基本合意と守秘義務に関する契約を締結する。
⑤業務提携プロジェクト、委員会などで関係者と準備を進める。
⑥経営TOPを交えた業務提携契約を締結する。
⑦業務提携が実施され進捗管理がされる。
資本提携
企業が、他の企業とお互いの株式を持ち合い、協力関係を強化すること。相互の持ち合いを意味することが多いが、片方の企業のみが、もう一方の企業の株式を取得すること(資本参加)もある。一部とはいえ、その会社の所有者になり、議決権を行使するということなので、単に業務上で協力するという以上の関係となる。もっとも一般に、企業の買収(発行済み株式の2分の1超を保有)や、拒否権確保(同3分の1超を保有)まで至らない、低い出資比率で資本関係を築くことを意味する。
業務提携が資本提携に発展し、最終的には両社が合併したり、吸収されるというケースも考えられる。
持株比率による支配権の内容・株主の権利 (出典 株式会社ストライク)
資本提携の方法
資本提携は株式を取得することになるので、その方法は既存株式の取得と新株の取得の2つがある。
既存株式の取得は特定の大株主から直接株式を買い取る方法がとられる。
他方、新株の取得は第三者割当増資の実行による新株発行とその引受けで行われ、資本提携ではこの形式が多い。
資本提携について(出典 N総合会計)
[PDF]特定の株主からの 自己株式の取得について - (出典 みずほ総合研究所)
株式会社の増資手続き(募集株式の第三者割当て) (出典 行政書士梅澤法務事務所)
株主総会議事録(第三者割当増資)の雛形、書式、サンプル (出典 増資手続き(第三者割当増資 株主割当増資)-情報局
経営統合
二つ以上の会社が共同で持ち株会社を設立し、その傘下に入ること。同じ親会社をもつことで戦略を共有し、会社同士の関係を深めるもの。合併とは異なり、資本や組織は一本化されない。
持ち株会社の設立には主に、「抜殻方式」「株式移転方式」「株式交換方式」がある。
抜殻方式 自ら行っている事業を子会社に移し、その会社自身は持ち株会社に移行する方式。事業を移す方法は現物出資や事業譲渡、会社分割による。
現物出資とは (出典 inQup)
定款の文例 (出典 株式会社登記書式集Part1)
株式移転方式 持ち株会社となる完全親会社を、株式移転によって新規に設立する方式
株式移転に関する書式 (出典 株式移転完全ガイド)
株式交換方式 既存の会社を株式交換によって完全親会社にする方式
株式交換に関する書式 (出典 株式交換完全ガイド)
合併
2つ以上の企業が、1つの会社になることをいう。新設合併と吸収合併がある。
新設合併は合併前のそれぞれの企業は消滅(消滅会社)して、新会社が設立される場合である。
吸収合併は1つの企業が存続(存続会社)をして、他の企業は吸収される場合である。
吸収合併・新設合併 M&A・ (出典) 企業再編サポート ~富山綜合法務事務所~
新設合併 無料書式 (出典 朝日中央グループ)
吸収合併 無料書式 (出典 朝日中央グループ)
合併時の法務の留意点 (出展 BIZGIN)
おわりに
企業の経営戦略は様々なものがあるが、自社の意図、強み・弱みを把握して戦略を選択できればと思います。
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