日米がアルゼンチンをWTO提訴
2012/09/03   海外法務, 外国法, その他

概要

 日米両政府は8月21日、アルゼンチンが外国産の自動車や電気製品などの輸入を不当に制限しているとして、世界貿易機関(WTO)に提訴する手続きに入ったと発表した。今後、9~10月に両国政府で協議を実施することになるが、話し合いが不調に終われば、WTO内に第三者からなるパネルを設置することになる。本件の場合は、是正協議は不調に終わるとの見方が多く、パネル設置となる可能性が高い。なお、欧州連合(EU)は既に5月に手続きに入っており、10月末にも日米欧共同での提訴に踏み切る構えだ。
 日本がアルゼンチンに対してWTOの手続きに入るのは初めてであり、全体では計16件目となる。これまでのWTO提訴は、米国やEUやカナダなどの先進国との間において、貿易摩擦を解決する手段として行われる場合が多かった。
 アルゼンチンはリーマン・ショックによる世界景気の悪化後、工業製品を中心に輸入許可制度を導入し、外国産品を締め出し始めた。自国の産業保護や雇用確保が目的と見られている。2011年2月には対象品目を400から600へと大幅に増やし、許可証の発給に100日以上かけるなどして、同国への輸出を妨げている。それにより、サプライチェーン上の問題が発生している。

コメント

 日本企業の輸出・投資先が世界各地の新興国に広がるなか、国際制度を活用した準司法的な手続きも重要になってきている。
 これまで日本は、WTO訴訟の当事者になることを避け、証人として第三者の立場から不平を訴えるやり方を選んできた。しかし、今回の提訴は、当事者の立場に立たなくてはもはや自国が直面する問題を解決できないと判断した結果なされたものと考えられ、その点で意義があると言える。
 今後このような問題は増えるであろうが、必要な主張は臆せず行うなど、事情に応じて適切な対処をすることが何より求められる。

シェアする

  • はてなブックマークに追加
  • LINEで送る
  • 資質タイプ×業務フィールドチェック
  • TKC
  • 法務人材の紹介 経験者・法科大学院修了生
  • 法務人材の派遣 登録者多数/高い法的素養

新着情報

  • セミナー
    • 石黒 浩 氏(大阪大学 基礎工学研究科 システム創成専攻 教授 (栄誉教授))
    • 安野 たかひろ 氏(AIエンジニア・起業家・SF作家)
    • 稲葉 譲 氏(稲葉総合法律事務所 代表パートナー)
    • 藤原 総一郎 氏(長島・大野・常松法律事務所 マネージング・パートナー)
    • 上野 元 氏(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 パートナー)
    • 三浦 亮太 氏(三浦法律事務所 法人パートナー)
    • 板谷 隆平 弁護士(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
    • 山口 憲和 氏(三菱電機株式会社 上席執行役員 法務・リスクマネジメント統括部長)
    • 塚本 洋樹 氏(株式会社クボタ 法務部長)
  • 【12/6まで配信中】MNTSQ Meeting 2024 新時代の法務力 ~社会変化とこれからの事業貢献とは~
  • 終了
  • 2024/12/06
  • 23:59~23:59

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビの課題別ソリューション

企業法務人手不足を解消したい!

2007年創業以来、法務経験者・法科大学院修了生など
企業法務に特化した人材紹介・派遣を行っております。

業務を効率化したい!

企業法務業務を効率化したい!

契約法務、翻訳等、法務部門に関連する業務を
効率化するリーガルテック商材や、
アウトソーシングサービス等をご紹介しています。

企業法務の業務を効率化

公式メールマガジン

企業法務ナビでは、不定期に法務に関する有益な情報(最新の法律情報、研修、交流会(MSサロン)の開催)をお届けするメールマガジンを配信しています。

申込は、こちらのボタンから。

メルマガ会員登録

公式SNS

企業法務ナビでは各種SNSでも
法務ニュースの新着情報をお届けしております。

企業法務ナビに興味を持たれた法人様へ

企業法務ナビを活用して顧客開拓をされたい企業、弁護士の方はこちらからお問い合わせください。