スカパー不正視聴で摘発 機器販売の男逮捕
2013/05/17 法務相談一般, 不正競争防止法, その他
事案の概要
有料の衛星放送「スカパー!」を無料で視聴できる不正なカードリーダーを製造・販売したとして、兵庫県警サイバー犯罪対策課などは15日、同県洲本市本町、自称喫茶店員、米澤義郎容疑者(41)を不正競争防止法違反容疑(技術的制限手段回避装置提供)で逮捕した。運営する「スカパーJSAT」によると、機器を使った不正視聴での摘発は初めてという。
逮捕容疑は昨年、有料の衛星放送を無料で視聴できる機器を製造し、インターネットのオークションサイトで落札した東京都の男性に約16万円で販売した疑い。県警によると「ネットを参考にして機器を製造した」と認めているという。
同社や県警によると、衛星放送を解約すると、専用の受信機に番組を視聴できないようにする電波が送られる。米沢容疑者は、この電波を妨害する装置を受信機に取り付け、解約後も見られるようにしていた。
コメント
有料放送の不正視聴については、弊サイト5月10日付ニュース「不正『B-CASカード』訴訟」で取り上げたところである。今回の事件では、不正視聴を可能とする装置を他人に提供したとして、摘発を受けた。
10日付けのニュースでもコメントしたように、不正視聴の手段は様々で、企業としてもこれに全て対応するわけにはいかない。また、企業側が対策を講じても、新しい回避手段が出てきて、いたちごっこになりがちである。
結局その都度摘発していくことになるのだが、今回のように法律で規制されている場合ばかりとは限らず、悩ましい問題である。
関連条文
不正競争防止法2条11号(技術的制限違反に対する不正競争行為)
「他人が特定の者以外の者に影像若しくは音の視聴…をさせないために営業上用いている技術的制限手段により制限されている影像若しくは音の視聴…を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする機能を有する装置(当該装置を組み込んだ機器及び当該装置の部品一式であって容易に組み立てることができるものを含む。)若しくは当該機能を有するプログラム(当該プログラムが他のプログラムと組み合わされたものを含む。)を記録した記録媒体若しくは記憶した機器を当該特定の者以外の者に譲渡し、引き渡し、…行為(当該装置又は当該プログラムが当該機能以外の機能を併せて有する場合にあっては、影像の視聴等を当該技術的制限手段の効果を妨げることにより可能とする用途に供するために行うものに限る。) 」
※ なお、同条項の構造については、
不正競争防止法説明資料(経済産業省)
の「不正競争防止法 第2条第1項第10号・第11号及び第7項の構造について(技術的制限手段関係)」が分かりやすい。また、同サイトには、不正競争防止法の初心者向けの解説なども掲載されている。
同法21条2項4号
次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
不正の利益を得る目的で、又は営業上技術的制限手段を用いている者に損害を加える目的で、第二条第一項第十号又は第十一号に掲げる不正競争を行った者
関連コンテンツ
新着情報
- 弁護士
- 水守 真由弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- まとめ
- 中国:AI生成画像の著作権侵害を認めた初の判決~その概要と文化庁「考え方」との比較~2024.4.3
- 「生成AIにより他人著作物の類似物が生成された場合に著作権侵害が認められるか」。この問題に関し...
- 業務効率化
- Araxis Merge 資料請求ページ
- 解説動画
- 浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間
- 業務効率化
- Legaledge公式資料ダウンロード
- ニュース
- 再生材の安定供給へ、政府が「循環経済」推進の政策パッケージまとめる2025.1.14
- NEW
- 政府は2024年12月27日、循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行を加速するパッケージ案...
- 弁護士
- 松本 健大弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階
- 解説動画
- 斎藤 誠(三井住友信託銀行株式会社 ガバナンスコンサルティング部 部長(法務管掌))
- 斉藤 航(株式会社ブイキューブ バーチャル株主総会プロダクトマーケティングマネージャー)
- 【オンライン】電子提供制度下の株主総会振返りとバーチャル株主総会の挑戦 ~インタラクティブなバーチャル株主総会とは~
- 終了
- 視聴時間1時間8分
- セミナー
- 五反田 美彩 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所/第一東京弁護士会所属)
- 林越 栄莉 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所/第二東京弁護士会所属)
- 【オンライン】インフルエンサーに必要な法務知識とは?
- 終了
- 2024/11/27
- 12:00~13:00