再生材の安定供給へ、政府が「循環経済」推進の政策パッケージまとめる
2025/01/14   コンプライアンス, 環境法務, 環境法, メーカー

はじめに


政府は2024年12月27日、循環経済(サーキュラーエコノミー)への移行を加速するパッケージ案について議論を行いました。石破首相は、日本において多くの資源を輸入に依存している現状を踏まえ、循環経済を推進することの重要性を強調。速やかに実行するよう関係閣僚に指示しました。

すでに施行されているプラスチック資源循環促進法についても後半でみていきます。

 

循環経済推進へ


2024年12月27日、政府は、廃棄される製品や原材料の有効活用について話し合う「循環経済(サーキュラーエコノミー)に関する関係閣僚会議」を開き、政策パッケージをまとめました。

“循環経済”とは従来の3R(Reduce=リデュース、Reuse=リユース、Recycle=リサイクル)の取り組みに加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、今ある資源を有効活用しながら付加価値を生み出す経済活動のことです。資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止などを目指しています。サーキュラーエコノミーと呼ばれることもあります。

鉱物資源の埋蔵量に対し、2050年までの需要が大幅に超過する見込みであるほか、プラスチックの世界使用量が今後2倍以上に膨れ上がると予想されています。そのため、ヨーロッパなどを中心に世界的に循環経済への移行が進んでいます。

こうした世界的な状況に加え、資源の乏しい日本では、石油や金属をはじめとした多くの資源を輸入に頼っています。そのため、廃棄物などを資源として最大限活用し、新たな成長につなげる経済社会システムへの転換の必要性が叫ばれています。

政策パッケージに盛り込まれた内容の概要は以下のとおりです。

○地域の循環資源を生かした豊かな暮らしと地域の実現
・レアメタルを含む小型家電など地域の循環資源の回収・再資源化の促進
・食品ロス削減、サステナブルファッション、使用済おむつリサイクルの推進
・新しい地方経済・生活環境創生交付金等による地方公共団体の取組支援等
・下水汚泥資源の有効利用の推進、建設リサイクルの高度化
・付加価値が高く利用しやすいリユースビジネスなどの支援

○国内外一体の高度な資源循環ネットワークの構築
・太陽光パネルのリサイクル促進等に向けた制度的枠組み構築
・資源循環分野における外国人材確保
・事業者間で素材情報等を共有する情報流通プラットフォームの構築支援
・高度な分離・回収技術やAI導入による高効率な設備等の技術開発・設備導入支援

このほか、使用済みの車などを解体・保管・リサイクルする大規模な拠点の立ち上げに向け、全国12カ所で調査を開始するということです。

 

プラスチック資源循環促進法


循環経済に関連した法律ですでに施行されているのが、「プラスチック資源循環促進法」です。
プラスチックゴミ問題や、廃棄物輸入規制強化などへの対応をきっかけに、国内でプラスチック資源循環を促進する動きが高まりました。これを背景に、2021年6月にプラスチック使用製品の設計からプラスチック使用製品廃棄物の処理まで、プラスチックの資源循環の取組を促進するための措置を盛り込んだ本法律が制定されました。2022年4月1日から施行されています。

この法律では廃棄物処理法で定められていなかった「リサイクル」の定義が明確化され、(1)再資源化、(2)再資源化等、(3)再商品化という3つのカテゴリーに分けられています。

事業者が守らなければならない責務としては、以下が挙げられています。

・プラスチック使用製品廃棄物及びプラスチック副産物を分別して排出するとともに、その再資源化等を行うよう努めなければならない。
・プラスチック使用製品をなるべく長期間使用すること
・プラスチック使用製品の使用の合理化により、プラスチック使用製品廃棄物の排出を抑制するとともに、使用済プラスチック使用製品等の再資源化等により得られた物又はこれを使用した物を使用するよう努めなければならない

また、経済産業省は今後、認定制度を設ける予定です。プラスチックを使う製品を扱う事業者は、製品などに対してこの認定を受けると公共調達などでインセンティブが与えられるようになるとみられています。

プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(令和三年法律第六十号)

 

コメント


「循環経済」への取り組みは、持続可能な社会の実現に向けた重要なステップとなります。各社ともに、循環経済を意識した事業戦略の見直しと、それに伴うコンプライアンス体制の再構築が求められます。

 

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