みずほ銀行と反社会的勢力の不透明な関係
2013/10/11 コンプライアンス, 民法・商法, 金融・証券・保険
事案の概要
みずほ銀行は従来より銀行運営にあたり、反社会的勢力の排除に係る規定を設けており、顧客が暴力団関係者であって、取引継続が不適切であると判断された場合、取引停止・解約を可能とする条項を置いていた。
しかし、反社会的勢力排除がコンプライアンス重視の流れの中で厳格に求められている中で、9月27日みずほ銀行に対して金融庁から業務改善命令という行政処分が下された。
当該処分は銀行法26条1項(内閣総理大臣は、銀行の業務若しくは財産又は銀行及びその子会社等の財産の状況に照らして、当該銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため必要があると認めるときは、当該銀行に対し、措置を講ずべき事項及び期限を示して、当該銀行の経営の健全性を確保するための改善計画の提出を求め、若しくは提出された改善計画の変更を命じ、又はその必要の限度において、期限を付して当該銀行の業務の全部若しくは一部の停止を命じ、若しくは当該銀行の財産の供託その他監督上必要な措置を命ずることができる。)に基づくものであって、みずほ銀行の行内事情は当局によって「健全かつ適切ではない」と判断されたことになる。
具体的にはグループ企業であるオリエントコーポレーション(オリコ)提携ローンが無審査でなされるという運用に、暴力団が関係していたという事実が問題視されている。同運用は実質的に暴力団関係者への無審査融資であって同行の自社規定に抵触するとともに、その数額が累計200件、総額2億円以上に上ることが明らかとなっている。
また、9月27日の業務改善命令→10月4日段階での記者会見→10月8日段階での銀行側記者会見を時系列で見たとき、初動記者会見までのタイムラグと4日と8日段階での記者会見内容の齟齬が、事案の全体像把握を困難なものにしているのが現状だ。
4日段階の記者会見では、当該不適正融資につき「担当役員止まりでの事実認識だった」という発表であったのに対し8日段階では「頭取自身に事実認識があった」という発表へと変遷がみられ、弁護士による第三者委員会の設置に係る調査の実効性が問う以前の段階で、様々な憶測を呼んでいる。
コメント
業務改善命令から初動記者会見のタイムラグ、経営トップを守り事実を隠蔽しようとしたと受け取られてもやむをえない会見内容の変遷という事実関係を見るとき、建前としてはコンプライアンス重視を打ち出すメガバンクにおいても、本音では反社会的勢力との関係を完全に断つことが難しい、という実態が見え隠れする。当事者の保身を図ろうとする情報公開インセンティブの弱さ、また第一勧業銀行・富士銀行・日本興行銀行の分割・合併により成立したみずほ銀行特有の背景事情も存在しそうだ。今後の真相解明状況が注目される。
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