ANAなど航空会社が価格カルテルで提訴される
2014/08/20 独禁法対応, 独占禁止法, その他
事案の概要
国営ドイツ鉄道は8月19日に、航空会社の価格カルテルによって同社の貨物輸送事業が打撃を受けたとして、全日本空輸(ANA)など複数の企業に対してアメリカで訴訟を提起したことを明らかにした。
航空会社の価格カルテルは7年前に発覚した。欧州連合(EU)では合計8億ユーロ、アメリカでは計15億ドルの罰金が科せられた。また、価格カルテルにより損害を被った企業は、別に損害賠償を求めて提訴できる。
ドイツ鉄道は価格カルテルによって、1999年から2006年の同社の貨物輸送事業が打撃を受けたとして、ニューヨークの裁判所に提訴している。全日空の他に、仏・オランダ系のエールフランスKLM、スカンジナビア航空、豪カンタス航空、ルクセンブルクのカーゴルックス航空、マルチネア・オランダが提訴の対象となっている。
コメント
価格カルテルとは、企業が利益を確保するため同業社間で商品・サービスの価格について協定を結び、競争を避けることをいう。カルテルは自由競争を阻害し、消費者に不利益を及ぼすので、独占禁止法によって原則禁止とされている。協定の内容によって様々なカルテルがあるが、価格カルテルは中でも違法性が高いと言われている。
全日空は国際航空貨物運賃に関してその一部を談合で決めていたことを認め、すでにアメリカに対し7300万ドルの罰金を支払っている。さらにドイツ鉄道に損害賠償を支払うとなると、その損害は甚大なものになるといえる。
また、価格カルテルを行うことは、消費者への不利益が大きく、会社としての信用も失うことになる。このように、価格カルテルは企業にとって大きな損害を与えるものであるが、企業にとって思わぬ場面で価格カルテルを形成している場合がある。例えば、事業者団体が会員の販売価格について基準価格や料金表を作成し、それに従って企業が足並みを揃えることも違法となるおそれがある。企業としては、自社の行動がカルテルに該当しないか今一度見つめ直すことも重要といえる。
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