特定商取引法違反の電話勧誘販売業者に対する 業務停止命令
2010/12/24 消費者取引関連法務, 特定商取引法, 流通
概要
消費者庁は、健康食品の販売業者である株式会社幸の華(本社:東京都中央区)に対し、平成22年12月17日、特定商取引法第23条第1項の規定に基づき、平成22年12月18日から平成23年3月17日までの3か月間、電話勧誘販売に関する業務の一部(新規勧誘、申込み受付及び契約締結)を停止するよう命じた。
また、あわせて、同社に対し、同法第22条の規定に基づき、営業員が、同社の健康食品には、癌や痴呆症などの予防又は改善効果があるかのように告げていたことがあるが、それは虚偽である旨を、同社から健康食品を購入した者に対し、通知することを指示した。
認定した違反行為は、不実告知、勧誘目的不明示、再勧誘、契約書面の記載不備である。
(指示)
第二十二条 主務大臣は、販売業者又は役務提供事業者が第十六条から第二十一条までの規定に違反し、又は次に掲げる行為をした場合において、電話勧誘販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。
一 電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約に基づく債務又は電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の解除によつて生ずる債務の全部又は一部の履行を拒否し、又は不当に遅延させること。
二 電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、又は電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、当該売買契約又は当該役務提供契約に関する事項であつて、電話勧誘顧客又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの(第二十一条第一項第一号から第五号までに掲げるものを除く。)につき、故意に事実を告げないこと。
三 前二号に掲げるもののほか、電話勧誘販売に関する行為であつて、電話勧誘販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益を害するおそれがあるものとして主務省令で定めるもの。
(業務の停止等)
第二十三条 主務大臣は、販売業者若しくは役務提供事業者が第十六条から第二十一条までの規定に違反し若しくは前条各号に掲げる行為をした場合において電話勧誘販売に係る取引の公正及び購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は販売業者若しくは役務提供事業者が同条の規定による指示に従わないときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、一年以内の期間を限り、電話勧誘販売に関する業務の全部又は一部を停止すべきことを命ずることができる。
認定した違反行為
1.株式会社幸の華は、入手した名簿の情報に基づき消費者に電話をかけ、「ヤマブシタケ幸の華」及び「宮廷からの贈り物「双」」と称する健康食品の電話勧誘販売を行っていた。
2.認定した違反行為は以下のとおりである。
(1)同社は、本件商品の電話勧誘販売をするに際し、顧客に対し、「ヤマブシタケは免疫力を高めて癌の再発防止にも良いですよ。」、「免疫力がついて癌も治ります。」、「飲み続けると痴呆になりません。」、「1年くらい飲み続けると、薬を飲まなくてもいい身体になります。」などと、あたかも本件商品を飲むことで様々な病気を予防又は改善できるかのように告げていた。しかし、実際には、本件商品に様々な病気を予防又は改善できる効能はなかった。
(2)同社は、本件商品の電話勧誘販売をするに際し、顧客に対し、「○○さんですか。高齢になると体に毒素がたまって病気になります。当社が販売しているヤマブシタケの健康食品を飲むと体の毒素がなくなり病気が治ります。」、「健康食品についてお電話しています。お体の具合はどうですか。」などと告げて本件商品の勧誘を開始しており、最初に本件商品の売買契約の締結について勧誘するためのものであることを告げていなかった。
(3)同社は、顧客が「健康で悪いところがないので、健康食品はいりません。」などと本件商品の売買契約を締結しない旨の意思をはっきりと表示したにもかかわらず、その電話で引き続き勧誘を続け、又は再び電話をかけて勧誘をしていた。
(4)同社は、本件商品の試供品の売買契約を締結した際に交付した書面に、「代表者の氏名」、「電話勧誘販売における契約の申込みの撤回又は解除に関する事項」等を記載しなければならないにもかかわらず、これらの事項を記載していなかった。
また、同社が顧客と本件商品の売買契約を締結した際に交付した書面についても、「電話勧誘販売における契約の申込みの撤回又は解除に関する事項」の記載内容が不十分なものになっていた。
行政処分の内容
行政処分の内容は次の通りである。
(1)業務停止命令
①内容
特定商取引法第2条第3項に規定する電話勧誘販売に関する業務のうち、次の業務を停止すること。
ア.電話勧誘販売に係る売買契約の締結について勧誘すること。
イ.電話勧誘販売に係る売買契約の申込みを受けること。
ウ.電話勧誘販売に係る売買契約を締結すること。
②停止命令の期間
平成22年12月18日から平成23年3月17日まで(3か月間)
(2)指示
同社から本件商品を購入した者に対し、「営業員が、株式会社幸の華の健康食品を飲むことで、あたかも癌や痴呆症などの病気が予防又は改善できるかのように告げていたことがあるが、この健康食品にはそのような病気の予防又は改善効果はない。」旨を、平成23年1月17日までに通知し、同日までにその通知結果について消費者庁長官まで報告すること。
(定義)
第二条 3 この章及び第五十八条の六第一項において「電話勧誘販売」とは、販売業者又は役務提供事業者が、電話をかけ又は政令で定める方法により電話をかけさせ、その電話において行う売買契約又は役務提供契約の締結についての勧誘(以下「電話勧誘行為」という。)により、その相手方(以下「電話勧誘顧客」という。)から当該売買契約の申込みを郵便等により受け、若しくは電話勧誘顧客と当該売買契約を郵便等により締結して行う商品若しくは指定権利の販売又は電話勧誘顧客から当該役務提供契約の申込みを郵便等により受け、若しくは電話勧誘顧客と当該役務提供契約を郵便等により締結して行う役務の提供をいう。
関連コンテンツ
新着情報
- 業務効率化
- 鈴与の契約書管理 公式資料ダウンロード
- 業務効率化
- クラウドリーガル公式資料ダウンロード
- NEW
- 弁護士
- 平田 堅大弁護士
- 弁護士法人かなめ 福岡事務所
- 〒812-0027
福岡県福岡市博多区下川端町10−5 博多麹屋番ビル 401号
- 弁護士
- 片山 優弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階
- ニュース
- 外国人雇用の理由「労働力不足の解消や緩和」が60%超 -厚労省2025.1.7
- NEW
- 厚生労働省が日本で働く外国人についての調査を初めて実施し、その結果を公表しました。 その中で...
- セミナー
- 岡野 琴美 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所/第二東京弁護士会所属)
- 【オンライン】スタートアップに知ってほしい!クラウドファンディングの法務
- 終了
- 2024/11/28
- 12:00~13:00
- 解説動画
- 大東 泰雄弁護士
- 【無料】優越的地位の濫用・下請法の最新トピック一挙解説 ~コスト上昇下での価格交渉・インボイス制度対応の留意点~
- 終了
- 視聴時間1時間
- まとめ
- 独占禁止法で禁止される「不当な取引制限」 まとめ2024.5.8
- 企業同士が連絡を取り合い、本来それぞれの企業が決めるべき商品の価格や生産量を共同で取り決める行...
- 解説動画
- 江嵜 宗利弁護士
- 【無料】今更聞けない!? 改正電気通信事業法とウェブサービス
- 終了
- 視聴時間53分