電子書籍化 代行業に違法可能性
2011/02/28 知財・ライセンス, 著作権法, その他
事実関係など
紙の本をバラバラのページに裁断した上で、ページの内容をスキャナーなどで読み取り、これを電子書籍化する、この作業を代行する業者が増えている。そこで、このような業者に対して、出版各社が参加する日本書籍出版協会は、著作権法違反の疑いがあるとしている。
背景
電子書籍といえば、i Padの発売などで、その利便性などが大きく報道されているので、知っている人も多いことと思う。紙媒体で保存するには、スペースなども必要であり、図書館だけでなく、個人でも所有している書籍をデータ化して管理する人もいるだろう。
そこで、今回問題となっている、電子書籍化の代行業である。これらの業者は、こういった時代の流れに合わせた消費者のニーズをくみ取る商売だと言える。
この自前で行う電子書籍化であるが、マンガ喫茶や、大手レンタルビデオ店などでも、そのサービスに注目しており、今後、多くの業者が参入することも考えられる。
問題点
今回、著作権法違反の理由だが、私的複製は認められており、ただ代行に関しては、複製者と使用者が異なることから、日本書籍出版協会は違法の疑いがあるとしている。
ということは、客が自ら、裁断機とスキャナーを使って電子書籍化するのであれば違法ではないということになる。電子化に必要な機器を貸し出すなどのサービスは出来るということであろう。
また、日本書籍出版協会は、会員の出版社に対して、代行業者に依頼して電子化することは違法である旨を、本の奥付けなどに表記するように求めているようだ。
最後に
単純に思うのは、代行業者がやってもいいのではないか、と思ってしまう。なぜ、代行業者ではダメであるのか、ハッキリとした理由は分からない。自分でやる煩雑さと時間の有効活用の観点から、代行業者に依頼したい人も多いはずだ。
権利者の利益を守ることは大切だが、果たして、ここまで厳格に対処すべきことなのか。秋葉原のショップ「自炊の森」について、かなり議論を呼んだが、批判を受け新たなサービス形態で営業をしている。電子書籍化については、今後の動向が注目される。
関連コンテンツ
新着情報
- 業務効率化
- ContractS CLM公式資料ダウンロード
- ニュース
- 「タイヤ館」でパワハラか、新入社員が自殺で遺族提訴2025.1.7
- NEW
- カー用品店「タイヤ館」の新入社員だった24歳の男性が3年前に自殺しました。遺族は、2024年1...
- セミナー
- 豊泉 健二 氏(古河電気工業株式会社 法務部 部長)
- 藤原 総一郎 氏(長島・大野・常松法律事務所 マネージング・パートナー)
- 板谷 隆平 弁護士(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 【12/16まで配信中】CORE 8 による法務部門の革新:古河電気工業に学ぶ 人材育成とナレッジマネジメント
- 終了
- 2024/12/16
- 23:59~23:59
- 弁護士
- 髙瀬 政徳弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階
- 弁護士
- 目瀬 健太弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- 解説動画
- 江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
- 終了
- 視聴時間1時間15分
- まとめ
- 中国:AI生成画像の著作権侵害を認めた初の判決~その概要と文化庁「考え方」との比較~2024.4.3
- 「生成AIにより他人著作物の類似物が生成された場合に著作権侵害が認められるか」。この問題に関し...
- 解説動画
- 岡 伸夫弁護士
- 【無料】監査等委員会設置会社への移行手続きの検討 (最近の法令・他社動向等を踏まえて)
- 終了
- 視聴時間57分
- 業務効率化
- Araxis Merge 資料請求ページ