40年前の悪質商法被害者を再度狙い撃ちの男、出資法違反で逮捕。
2012/02/18 消費者取引関連法務, 出資法, その他
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40年前の悪質商法被害者を再度狙い撃ちの男、出資法違反で逮捕。
北海道警は15日、30~40年前に横行した原野商法の被害者に対し、架空の土地運用話やプレゼント・パーティー招待を巧みに使い、高額の出資を不正に誘っていた69歳の男を、出資法違反(預り金の禁止)容疑で逮捕した。
被害者の数は350名にも及び、男が、高齢者を中心とする被害者から集めた金額は約15億6000万円。北海道警では、詐欺容疑での立件も視野に捜査を行う方針だ。
◆原野商法
1970年代に北海道を中心に被害が多発した商法で、資産価値のほとんどない北海道の原野を「将来値上がりする」とそそのかして、高値で売る手口で知られる。被害者は、原野を購入するも、買い手が見つからず、現在でも処分に困っている人が多い。
◆出資法違反
出資法では、特定の資格を有する者以外が、不特定多数の者から出資金を募る行為を禁止している。違反した者には、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が科せられる。
出資を集める手口
1 問題となった原野の登記簿を調べ、原野商法の被害者を特定。
2 その被害者に接触し、「一帯全ての土地を買い上げた後に、そこに老人福祉施設(まとめ資材置場と言うときもあった)を建設したい。そのために、あなたの土地(原野)を購入したい」と持ちかける。
3 原野を実際に被害者から安価で購入。この過程で、被害者とリレーションを作る(仲良くなる)。
4 リレーションが出来たところで、「うちは貸金業もやっており、福祉事業に協力するので、出資してくれれば、年6~12%の金利を上乗せ配当します。3年後の元本も保証します」と勧誘。被害者は、これを受け、出資を行う。
5 配当を実際に毎月振り込み。その後も、手土産を持って頻繁に被害者宅を訪れ、誕生日には花が届け、さらに、札幌市での食事会に宿代込みで招待するなど、出資者を手厚く歓待。
6 すっかり信じ込んだ出資者にさらなる追加出資を求める。
破産手続きの開始
上記の手口により、出資を次々と集めたが、2009年4月に配当がストップ。その翌月には、破産手続き開始の通知書が出資者宅に届いた。
配当を順調に行っていたかに見えた男の会社は、実際は、個人経営の貸金業の資金や遊興費に多額の資金を浪費し、自転車操業を繰り返している状態であった。
元々、出資を集めるだけ集め、3年ほどで破産手続きに入る計画だったという。
男の会社は2010年1月に破産した。
雑感
このような表現がふさわしいかはわからないが、男が今回用いた手法は、実によく練られたものであったと言えよう。自転車操業の極限の中で、よくもまあ、このような緻密なアイデアが浮かんだものである。その頭を別の事に生かせなかったのだろうか。それとも、逮捕された男はあくまで入れ知恵をされただけで、黒幕が別にいるのだろうか。
月並みな話だが、悪質商法は、相手の心が弱っている時ほど、うまく行く可能性が高いと言われている。そのような中で、悪質商法の被害に一度遭われた方は、「経済的な被害の大きさ」、「騙されたショックの大きさ」、「一度、かぶった損害をなんとか取り戻したいという気持ちの強さ」から、第二の悪質商法の恰好のターゲットとなりうる。
今回の被害者の中には、老後の生活資金を失い死んでいった方もいるそうだ。一生懸命働いて稼いだお金を二度もだまし取られ、貧困の中で亡くなられた方の気持ちを考えると、胸がつぶれる思いがする。
悪質商法は、今後も手を変え品を変え登場することが予想される。しかし、リスクなくお金を儲ける方法などないのである。うまい話を持ちかけられた時に、相手にそのリスクを尋ね、明確な回答が返って来ない場合には一旦思いとどまる。このような考え方を習慣化して、悪質商法の手から、なんとか逃れて欲しい。
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