株主総会レポート GMOインターネット株式会社 その2(質問前編)
2012/04/02 商事法務, 総会対応, 会社法, IT
GMOインターネット株式会社 「すべての人にインターネット」
決議事項
決議事項についての説明です。
今回の決議事項は以下のものでした。
◯第1号議案 資本準備金の額の減少の件
財務基盤を強化することにより経営健全性の維持向上を図るため、資本準備金10億円を資本金に振り替える
◯第2号議案 定款一部変更の件
創業の精神であるスピリットベンチャー宣言を定款に明記
経営強化のため、取締役の員数を増員を増加する規定を追加
適正手続を担保するため、取締役会決議事項の事後承認を原則禁止することを明記
変更に伴う、条数の変更
◯第3号議案 取締役15名選任の件
◯第4号議案 監査役2名選任の件
◯第5号議案 取締役の報酬額改定の件
年額5億円以内から年額7億円以内へと改定
質問タイム
決議事項の説明が終わると、決議事項に関する質問を受け付ける時間が設けられました。
挙手をして番号と名前を言って発言。
さすがに発言は出来ませんでした。
ただ、みなさん結構質問されていて、全部で9の質問がありました。
以下、その質問内容と回答内容です。
質問①
質問者
「第1号議案についてですが、資本金を増やすということには具体的にどのようなメリットがあるのですか」
「第2号議案についてです。定款を変更し、取締役の員数を増加するとのことで、現状社外取締役の方はいませんが、増員に伴い、今後社外取締役を選任する予定はございますか」
熊谷氏
「ご質問ありがとうございます。まず、一点目の質問ですが、今回の資本の移動は財務的な観点からは大きな変化はございません。ただ、求人や会社案内などで社外的に資本金の額を明記する場合が多くございます。その場合に、資本金の大小で会社の規模を図る方が多くいらっしゃいますので、この度増やすことにいたしました。」
「二点目の質問ですが、皆様ご存じの通り、民主党のほうで今後社外取締役の選任を義務付ける動きもございます。そして、今後当社グループの規模が拡大するにしたがって、外部の有識者の方々のご意見を尊重しつつ、経営していきたいという気持ちもございますので、そのような思いもあり、取締役の枠の拡大を行っております。しかしながら、現在(社外取締役の選任を)決めているということはございません。」
質問②
質問者
「サービスの一つである、GMOとくとくBBのサービス申込がわかりにくかったので改善してほしい」
熊谷氏
「まず、当社の多くのサービスをご利用いただきまして誠にありがとうございます。ご指摘いただきました点につきましては、担当役員に指示を出しまして、直ちに改善させるようにいたします。ちなみに、本総会の場外に当社サービスの説明ブースを設けておりますので、今のようなご意見等ございましたら、是非、皆様お帰りの際に一言ご指導いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。私どもといたしましても、ユーザビリティ(使いやすや、わかりやすさ)は今後のインターネットビジネスにおいて最も大切なもののひとつだと思っておりますので、全サービスにおいて、努力いたしますことをここでお約束させていただきます。ご意見ありがとうございました。」
質問③
質問者
「第2号議案についてです。御社は設立されて21年ですが、なぜ今頃になって創業の精神であるスピリットベンチャー宣言を定款に明記することにしたのですか」
「取締役会決議事項の事後承認の原則禁止はいわば当たり前のことだと思うのですが、これを今頃定款に明記するということは、事後承認が今まで御社では普通に行われていて、事業が拡大してきたことにより弊害が生まれたので明記することにしたとも考えられるのですが、なぜ今となってなのかという背景を説明していただきたいと思います」
「ソーシャル・スマートフォン事業についてですが、この事業は十数億の赤字となっておりますが、他社のDeNAやGREEなどとなぜ差がついているのですか」
「インキュベーション事業とありますが、具体的にどのような企業に投資されていて、どのようなサポートをされているのですか」
熊谷氏
「一番目と二番目の質問である定款変更についてですが、これらは共通した思いから書き加えております。定款というものは会社の憲法でございます。私どもが守らなければならない一番大切なものでございます。私どもはこのGMOインターネットグループを、100年単位で存続し、成長し、多くのお客様の笑顔に貢献するグループ、社会に貢献するグループにしていきたいと思っております。結論から申し上げますと、そのためにこのような定款変更を今行っているという訳でございます。世界には200年以上存続している長寿企業というものが8000社以上ございます。そのうちの40%が日本に存在しております。そういう意味におきまして、日本という国は長寿企業大国であるといえます。その40%の企業には、明文化されている、されていないにかかわらず、77%の企業に所謂社是、社訓というものがあるそうでございます。逆に言えば、200年の長きにわたって関わる幹部、スタッフ、仲間たちが共通の理念というものを持ち合わせていなければ、おそらく存続していけないということだと思います。私どもにとって、その共通の理念とはスピリットベンチャー宣言でございます。この先も、この宣言を守り、成長していくために、今回定款に書き加えた次第でございます。そして、事後承認についてですが、この件はご質問いただいたように、何か問題があったから書き加えたわけではございません。私ども役員は監査役も合わせまして、公認会計士が3名、税理士が1名、弁護士が1名という非常にプロフェッショナルであり、コンプライアンス意識が高いチームだと考えております。今までも、コンプライアンス意識高く役員会を運営しております。であるが故に、このような状態が100年単位で続くようにとの思いから、定款に改めて明記しております。来年以降も、定款の変更を可能な限り行い、100年後に読み返して、日本で最もユニークな定款を持つ、社会に貢献する企業グループを作りたいと思っております。」
「3番目の質問についてですが、将来的にはDeNAさんやGREEさんのような多くの方がお喜びになって、結果としてたくさんの収益が上がる事業にしたいと思っておりまして、意図的に投資を続けております。私は2010年11月にアンドロイドやろうぜというイベントにて「皆様のお持ちのスマートフォンはいずれ近いうちに任天堂さんのDSやソニーさんのPSPを抜いて、或いは置き換えて、今世紀史上最大のプラットフォームになる」と申し上げました。つまりインターネット業界において、スマートフォンの急速な普及はビッグビジネスチャンスだと感じまして、ゲームのプラットフォームを自らの手で作りたいということからここに対する投資を大規模に行っております。当社は国内において最もスマートフォンに投資をしている会社の一社であると思います。現状足元では、ワールドワイドで毎日4万人から5万人の方がユーザー数が増えております。現状は、利益を出すタイミングに関して様子を見ているところでございます。これはユーザー様の動きと私どもの本業の業績の状況で判断を行いたいと思っております。そう皆様お待たせしないうちに、きちんと利益を出して皆様にお喜びいただきたいと思っております。ということで、現状、利益の側面だけ見ますと大きな差がございますが、ユーザー様の増加という点におきましては、決して引けを取っておりませんし、可能性という意味におきましては、同じくらい可能性があると私個人は思っておりますので、ご期待いただきたいと思います。」
質問者
「スマートフォンですと課金が難しいと思うのですが、課金体制の構築もされているのでしょうか」
熊谷氏
「そこは世界の状況にあわせて行っております。キャリア課金が強い国、カードが強い国、広告によるビジネスモデルが強い国などございますので、世界中の事例をスタッフが研究しております。おそらく世界で一番、課金についても研究を行っている企業ですのでご安心いただきたいと思います。」
「4番目の質問についてでございますが、こちらはグループの中のGMOベンチャーパートナーズという会社が、投資ファンドを運用しておりましてそこの収支が記載されております。このGMOベンチャーパートナーズは、インターネット産業に特化した投資ファンドでございまして、一昨年度は上場による売却などがございまして利益を計上しました。昨年度は皆様ご存じのとおり、東日本大震災がありましたり、いくつかの状況がございまして、マイナスとなっております。ただ、ファンド全体といたしましては、行く行くが見えておりますし、含み益を持っておりますので、ここも将来ご期待いただきたいと思っております。そして、あえて申し上げますと、GMOベンチャーパートナーズは私どもにとって、インターネット業界の先行きを見誤らないためのアンテナの役割を果たしておりまして、ネット業界の最先端の動きを察知するものでございます。シナジー効果も期待できますので、今後もこの分野に対して投資を続けていきたいと思っております。」
「投資する分野といたしましては、インターネットは本当に移り変わりが早く、半年に一回インターネットは変わってしまうので、成長する分野に投資をさせていただいております。」
次回予告
次回は引き続き質問、回答の続きを書いていきます。よろしければ、ご覧ください。
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