迷惑メール、企業に是正命令
2013/04/11 消費者取引関連法務, 特定電子メール法, その他
事案の概要
消費者庁及び総務省は今月2日、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(以下、特定電子メール法)に違反したとして、株式会社福田(神戸市中央区)に対して、同法に基づく措置命令を行った。
特定電子メール法は原則として、送信者が営利を目的として、広告や宣伝を行う電子メールを送信する場合には、あらかじめ同意した受信者以外に送信してはならないとしている。
株式会社福田は、少なくとも平成24年10月10日から平成25年2月26日までの間、自社の運営するウェブサイト「Quiero」の広告、宣伝を行うに当たり、受信者の同意を得ずに、電子メールを送信した事実が認められたため、措置命令を受けることとなった。同社のメール送信に関しては、一般社団法人日本データ通信協会に対して、1131人から相談が寄せられていた。
特定電子メール法は、大量の広告メールを送りつける行為は、受け取る側に多大な迷惑をかけるし、電気通信事業者のサーバーにも負担をかけ、通信障害の原因にもなりうることから、平成14年に成立した。同法が成立するまでは、この種のメールを規制する法律がなかっため、裁判所による仮処分により、こうした行為を禁止するしかなかった。同法の成立により、迷惑メールの被害に対して、行政庁による、機動的な対応が可能となっている。
コメント
インターネットの普及により、企業が、広告、宣伝として電子メールを活用することが一般化している。
それに伴って、メールを受け取る側の消費者もサーバーを管理する側の通信事業者の負担も増大している。こうした問題に関連して、通信事業者が大量の迷惑メールを送信する業者に対して、損害賠償を請求し、それが認定されるという訴訟も起きている。(東京地裁平成15年3月25日)
企業は電子メールによる広告、宣伝活動を行う際には、慎重を期すというのはもちろんであるが、消費者の側も、自己防衛として、安易に広告の受け取りに同意しないことが求められる
参考資料
「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」
(定義)
第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 電子メール 特定の者に対し通信文その他の情報をその使用する通信端末機器(入出力装置を含む。以下同じ。)の映像面に表示されるようにすることにより伝達するための電気通信(電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第一号に規定する電気通信をいう。)であって、総務省令で定める通信方式を用いるものをいう。
二 特定電子メール 電子メールの送信(国内にある電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設備をいう。以下同じ。)からの送信又は国内にある電気通信設備への送信に限る。以下同じ。)をする者(営利を目的とする団体及び営業を営む場合における個人に限る。以下「送信者」という。)が自己又は他人の営業につき広告又は宣伝を行うための手段として送信をする電子メールをいう。
(特定電子メールの送信の制限)
第三条 送信者は、次に掲げる者以外の者に対し、特定電子メールの送信をしてはならない。
一 あらかじめ、特定電子メールの送信をするように求める旨又は送信をすることに同意する旨を送信者又は送信委託者(電子メールの送信を委託した者(営利を目的とする団体及び営業を営む場合における個人に限る。)をいう。以下同じ。)に対し通知した者
(措置命令)
第七条 総務大臣及び内閣総理大臣(架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メールの送信に係る場合にあっては、総務大臣)は、送信者が一時に多数の者に対してする特定電子メールの送信その他の電子メールの送信につき、第三条若しくは第四条の規定を遵守していないと認める場合又は送信者情報を偽った電子メール若しくは架空電子メールアドレスをそのあて先とする電子メールの送信をしたと認める場合において、電子メールの送受信上の支障を防止するため必要があると認めるときは、当該送信者(これらの電子メールに係る送信委託者が当該電子メールの送信に係る第三条第一項第一号又は第二号の通知の受領、同条第二項の記録の保存その他の当該電子メールの送信に係る業務の一部を行った場合であって、当該電子メールの送信につき、当該送信委託者の責めに帰すべき事由があると認められるときは、当該送信者及び当該送信委託者)に対し、電子メールの送信の方法の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる
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