フィリピンでの土地所有は厳しすぎ??
2013/07/26 海外法務, 海外進出, 外国法, その他
事案の概要
フィリピンのカジノ建設をめぐり、反ダミー法に違反していた疑いがあるとして、日本の大手パチンコメーカー「ユニバーサルエンターテイメント」(以下、UE)の関係者、計26名がフィリピン捜査当局より訴追勧告されていたことが今月15日に判明した。26名の中には、UEの岡田和夫会長や現地法人の日本人およびフィリピン人が含まれている。
UEの現地法人である「イーグル1ランドホールディングス」は、カジノ用地としてマニラで約30ヘクタールの土地を取得している。一方、フィリピンの憲法の下では、フィリピン国内の土地の取得・保有するには売り手企業の株式をフィリピン人が60%以上保有しなければならない。
しかし、何らかの手段によって、憲法による土地取得規制を逸脱する者がおり、それを防止するためにあるのが、「反ダミー法」である。具体的には、外国企業の出資が制限されている業種に出資する場合、フィリピン企業と外国企業の出資割合が定められているが、フィリピン企業が出資するよう見せ掛け(ダミー)、実質、外国企業が負担する。「反ダミー法」は、このようにダミーを利用して出資割合を偽り、実質的に外国企業による完全な土地所有権取得を可能とすることを防止するのである。
コメント
フィリピンは、東南アジアの中での親日国であり、英語圏であるため、東南アジアの中でも海外進出しやすいとも言われる。しかし一方で、外資参入が厳しい国の1つでもある。外国企業を誘致するにも、投資を外国から呼び込む上でも外国人に所有権を認めないことは、個人的には少々厳しすぎると考える。
しかし、どんなに厳しい状況でも現地の法令は遵守しなければならない。今回の事件は、国内のみならず、海外の従業員に対するコンプライアンス意識の向上を目指した教育の必要性を痛感させる。
いずれにしろ、日本企業が活発に海外に進出するなか、現地でのコンプライアンスの実情に今後とも注目すべきである。
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