SIMロック解除義務化へ
2014/07/17 法務相談一般, 民法・商法, その他
事案の概要
総務省は14日、学識経験者らによる研究会を開き、契約した携帯電話会社以外では携帯端末を使えないようにするSIMロックの解除を義務づける方針を正式に決定した。大手携帯会社による寡占状態を解消し、競争を促進することで、携帯料金を引き下げることが狙いだ。
現在通信会社を乗り換えるためには、新たに携帯端末を買い替える必要がある。しかし、SIMロック解除が義務化されれば、ユーザーは端末を買い換えることなく、安い料金プランのキャリアに気軽に乗り換えられるようになる。
特に最近注目を集めているのがいわゆる「格安スマホ」だ。仮想移動体通信事業者(MVNO)の回線を用いて、大手携帯会社の月額料金の約半額で使用が可能であるとして人気を集めている。
SIMロック解除の義務化により競争が進み、料金の値下げはもちろん、サービスの向上も期待される。
また、総務省は義務化の実効性を図るべく解除に応じない場合、電気通信事業法に基づく業務改善命令の対象にできるようにする考えだ。今後、端末を購入してからを解除するまでの期間など、具体的なルール作りに向けた本格的な検討に入り、年内をめどにまとめる方針である。
コメント
現在、大手携帯各社が24回の割賦払いを「月々割」などの値引きで相殺し、ユーザーを囲い込むことで実質的販売価格を下げている。しかし、SIMロック解除の義務化によりユーザーがいつでも他社に乗り換えが可能となれば、携帯キャリアは端末の販売価格を上げて利益を確保する方向に動く可能性も否定できない。そうなれば、携帯料金の引き下げを目的とするSIMロック解除の義務化の意義が失われるのではないかとの懸念もある。
もっとも、SIMロックの解除が義務化されれば、海外出張の多いサラリーマンにとっては、日本で使用している端末をそのまま海外で使用できるというメリットがある。また、通話やメール等しか使わない高齢者や主婦等にとっては、格安スマホへの乗り替えが容易になるというメリットもある。
携帯電話やスマートフォンに対するニーズは多様であり、SIMロック解除の義務化は多様なニーズを満たす一躍となることが期待される。
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