コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)
2015/02/11 商事法務, 総会対応, 会社法, その他
昨年12月12日、金融庁と東京証券取引所は、コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)(以下、「本コード」という)の基本的な考え方について最終原案を公表した。1月の意見公募期間は経過したため、今後、原案を詰める会議が開かれ、その後、東京証券取引所での制度整備が行われる。
本コードは、本年の株主総会を念頭に、本年6月1日からの適用が想定されているため、随時情報収集していく必要がある。
コーポレートガバナンス・コードの適用会社と特性
本コードは、一言で言えば、上場会社を対象とした企業統治の指針であり、株主の権利、情報開示のあり方、取締役会の責務等についての行動規範を網羅したものである。
そのため、適用対象は上場企業に限られる。そして、東証一部・二部の上場企業はもちろん対象となるが、少なくとも本年は、その他の市場の上場企業にどこまで適用されるかは現時点では決まっていない。
また、本コードはその性質に特徴がある。すなわち、本コードは、法的拘束力を有する規範ではなく、その実施にあたっては「コンプライ・オア・エクスプレイン(comply or explain)」(原則を実施するか、実施しない場合には、その理由を説明するか)(ルールに従うべし、さもなくば説明せよ)という手法を採っている。これは、本コードの各原則の中に、各会社の個別事情に照らして実施することが適切でないと考えるものがあれば、「実施しない理由」を説明することにより、実施しないことも許されるということである。
コーポレートガバナンス・コードの概要
本コードの構造は、5つの基本原則から成り立つものである。すなわち、①株主の権利・平等性の確保、②株主以外のステークホルダーとの適切な協働、③適切な情報開示と透明性の確保、④取締役会などの責務(企業戦略等の大きな方向性を示す、独立した客観的な立場から経営陣・取締役に対する実効性の高い監督を行うなど)、⑤株主との対話である。そして、これら5つの基本原則の下位層に原則や補充原則が多数ある。
それら原則の中でポイントとなるものが、Ⅰ独立社外取締役を2人以上選任すること、Ⅱ3分の1以上の独立社外取締役を選任する場合には取組方針を開示すること、Ⅲ政策投資株式については経済合理性が説明できるような議決権行使の適切な基準を示すことである。
現在のところ上場企業では独立社外取締役の選任は十分進んでおらず、また、議決権の行使基準に対する説明も従来までは不十分であったケースも多い。そのため、上場企業としては、多様な面でかつ早期に、前述の「コンプライ・オア・エクスプレイン(comply or explain)」の趣旨に従った対応が求められていくことになる。
関連コンテンツ
新着情報
- 解説動画
- 奥村友宏 氏(LegalOn Technologies 執行役員、法務開発責任者、弁護士)
- 登島和弘 氏(新企業法務倶楽部 代表取締役…企業法務歴33年)
- 潮崎明憲 氏(株式会社パソナ 法務専門キャリアアドバイザー)
- [アーカイブ]”法務キャリア”の明暗を分ける!5年後に向けて必要なスキル・マインド・経験
- 終了
- 視聴時間1時間27分
- 弁護士
- 大谷 拓己弁護士
- 弁護士法人 咲くやこの花法律事務所
- 〒550-0011
大阪府大阪市西区阿波座1丁目6−1 JMFビル西本町01 9階
- 弁護士
- 平田 堅大弁護士
- 弁護士法人かなめ 福岡事務所
- 〒812-0027
福岡県福岡市博多区下川端町10−5 博多麹屋番ビル 401号
- まとめ
- 中国「データ越境移転促進・規範化規定」解説2024.4.23
- 中国の現行法令上, 香港・マカオ・台湾を除く中国本土内(「境内」)から境外への個人情報等の移転...
- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード
- ニュース
- 新潟市のデイサービス運営法人、賃金150万円不払いで書類送検/労基法の賃金規制について2025.1.15
- NEW
- 新潟市のデイサービス運営法人が職員に計約150万円分の賃金を支払っていなかった疑いがあるとし...
- 業務効率化
- クラウドリーガル公式資料ダウンロード
- 解説動画
- 浅田 一樹弁護士
- 【無料】国際契約における準拠法と紛争解決条項
- 終了
- 視聴時間1時間
- セミナー
- 石黒 浩 氏(大阪大学 基礎工学研究科 システム創成専攻 教授 (栄誉教授))
- 安野 たかひろ 氏(AIエンジニア・起業家・SF作家)
- 稲葉 譲 氏(稲葉総合法律事務所 代表パートナー)
- 藤原 総一郎 氏(長島・大野・常松法律事務所 マネージング・パートナー)
- 上野 元 氏(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 パートナー)
- 三浦 亮太 氏(三浦法律事務所 法人パートナー)
- 板谷 隆平 弁護士(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 山口 憲和 氏(三菱電機株式会社 上席執行役員 法務・リスクマネジメント統括部長)
- 塚本 洋樹 氏(株式会社クボタ 法務部長)
- 【12/6まで配信中】MNTSQ Meeting 2024 新時代の法務力 ~社会変化とこれからの事業貢献とは~
- 終了
- 2024/12/06
- 23:59~23:59