消費者庁発表の公益通報者保護制度の機能状況
2015/06/12 法務相談一般, 民法・商法, その他
公益通報者保護法の概要
公益通報者保護法は、リコール隠しや食品偽装などの不祥事が事業内部からの通報を契機として明らかとなる一方、通報者が不利益を被ることがあったため、通報者の保護を図るとともに、事業者等の法令遵守を図ることを目的として、平成18年4月に施行された。公益通報者保護法では、公益通報者に対してなされた通報を理由とする解雇・契約の解除は無効となる(法3条、4条)。さらに、通報を理由とした不利益取り扱いを禁止している(法5条)。もっとも、違反した場合の罰則は設けられていない。
公益通報者保護法の認知度
消費者庁は、民間事業者を対象に平成24年12月から平成25年1月に郵送等を用いたアンケート調査を実施し、3,624件の有効回答を得た。また、全国の18歳から79歳の労働者を対象に平成24年12月にインターネットを用いたアンケート調査を実施し、3,000件の有効回答を得た。
民間事業者全体では、61.5%が法を認知していた。労働者全体では、30.9%の認知にとどまった。事業者の法の認知度が6割であることから、実際に内部通報対策制度を構築している企業の割合はさらに低いと考えられる。また、労働者の認知度3割と低く、内部通報対策制度を構築していても、事業内における周知の徹底がなされていないことが分かる。
コメント
近年、リコール隠しや食品偽装等の不祥事が事業内部からの通報によって明らかになることが多く、企業の情報隠蔽に対する消費者の不信感が募っている。このような状況において、公益通報者保護法をもとにしっかりとした内部通報対策制度を構築し、問題が起きた際に正確な情報を公開するなど真摯な対応をする企業は消費者の不信感を払拭することができるであろう。また、内部通報対策制度があるため通報者に不利益を与えることがないということを労働者に周知させることによって、労働者が安心して働くことができるためパフォーマンスが向上し、ひいては企業の利益向上に繋がると考える。
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