自民 違法伐採対策検討 今国会へ
2015/08/17 法務相談一般, 民法・商法, その他
事案の概要
自民党は、海外で違法に伐採された木材の国内流通を防ぐ議員立法を検討している。輸入業者や製品メーカーを対象に、産地や伐採者、伐採方法等の記載を通じ、違法伐採された木材でないことの調査・確認を義務付ける制度をつくる予定である。これにより、環境負荷の低減や不公正な貿易の排除に繋げる。今国会での成立を目指す。
違法伐採の問題点
違法伐採について国際的に合意した定義はないものの、許可された区域・量を超えた伐採や、偽造許可証に基づく伐採などが各国で違法とされた例が多い。
違法伐採が多いと見られているのは、マレーシアやインドネシアなどを中心とする東南アジアである。1999年のインドネシア政府と英国政府との合同調査によると、インドネシアで生産される木材の50%以上が違法伐採によるものであった。林野庁によると、国内における木材総供給量のうち約7割が外国産であり、外国産のうち約1割が違法伐採によるものであるとの民間統計もある。
木材生産国における森林の減少や生態系異常など環境破壊、木材生産国の政府収入の損失、テロ組織の資金源化という問題点のほか、合法・計画的な伐採に比して低コストで価格競争力が高く公正な取引を歪めるとの指摘もなされている。
国内対策の現状
米国やEUでは法整備が進んでおり、民間事業者による違法な木材や木材製品の輸入を禁止し、罰則を設けているという。これに対し、日本は、2006年、グリーン購入法により、政府に対して公共事業などで輸入する木材が違法伐採によるものでないことの確認を義務づけていたものの、民間事業者については林野庁のガイドラインで示された「個別企業等の独自の取組」による自主的な確認にとどめていた。これにより、輸入規制が厳しい欧米を避け輸入規制が緩い日本に違法木材が流入しているとの指摘もある。
コメント
違法伐採木材の輸入は、木材生産国だけでなく消費国における持続可能な森林経営の阻害や、国産木材の価格低下の要因となるものである。
本対策が成立し、法的拘束力を有するに至れば、民間事業者についても木材の合法性の確認が義務付けられる。そうなれば、今まで以上に、日本国内は、違法木材の排除、合法性・持続可能性のある木材の確保・調達に向かっていくこととなり、結果として公正な貿易の実現、国内生産木材の適正な価格形成に資する。
また、調査・確認が不十分な事業者は業者名を公表される可能性がある。国内の民間事業者は、従来行っていた取扱い木材の合法性調査・確認の体制につき、第三者機関による監査の導入や伐採者まで遡ったルートの明確化など、今一度見直す必要がある。
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