食品表示法による摘発、ついに
2015/08/21 広告法務, 消費者取引関連法務, 食品衛生法, その他
1 事件の概要
ハンガリー産の蜂蜜を国産と偽って販売したなどとして、大阪府警は、8月20日に食品表示法違反などの容疑で、大阪府の蜂蜜卸売販売会社社長を書類送検する方針を固めた。今年4月の食品表示法施行後、同法違反容疑での摘発は全国初とみられる。
食品表示法は、食品衛生法、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS)法、健康増進法の3法の食品の表示に係る規定を一元化し、事業者にも消費者にも分かりやすい制度を目指したものである。
本件では、加工食品である蜂蜜の販売に際して課される原料原産地表示義務(食品表示法5条、食品表示基準3条参照)に違反したため、同法違反により摘発されることになった。
2 これまでの食品表示制度からの変更点
本件事件とは離れて、食品表示法の施行によって食品表示制度に加えられた変更点をいくつか挙げておく(東京都食品衛生実務講習会(表示講習)教材を参照)。
①原材料名の表示方法
添加物と添加物以外の原材料がどちらか分かるように、「添加物」の項目名が新たに設けられ、明確に区分して表示することが義務付けられる。
②表示可能面積が小さい食品の表示方法
表示可能面積が30平方センチメートル以下であっても、保存方法・消費期限又は賞味期限・アレルゲン・L-フェニルアラニン化合物を含む旨については、表示が義務付けられる。
③販売される添加物の表示方法
・一般消費者向けに販売される添加物:新たに「内容量」、「食品関連事業者の氏名又は名称及び住所」の表示が義務付けられる。
・業務用として販売される添加物:新たに「食品関連事業者の氏名又は名称及び住所」の表示が義務付けられる。
3 コメント
近年、食の安全に対する意識は一層高まっており、食品表示法の施行もその流れを受けてのことである。日本においては、国内産の食品の安全性に対する信頼が高いため、本件のように外国産を国内産と偽装する事例が相当数見受けられる。
本件事件は、意図的な原料原産地偽装という悪質性の強い事例であった。しかし、「法令を知らなかったから遵守しなかった」というような悪質性の低い場合であっても、法令違反であることには変わりはない。上記のような食品表示法の施行に伴う規制の変更を知らずに法令違反をしてしまえば、違反企業は消費者の信頼を失ってしまう。企業としては、常に最新の法令情報をキャッチする必要があることは言うまでもない。
関連コンテンツ
新着情報
- まとめ
- 株主提案の手続きと対応 まとめ2024.4.10
- 今年もまもなく定時株主総会の季節がやってきます。多くの企業にとってこの定時株主総会を問題無く無...
- 解説動画
- 江嵜 宗利弁護士
- 【無料】新たなステージに入ったNFTビジネス ~Web3.0の最新動向と法的論点の解説~
- 終了
- 視聴時間1時間15分
- ニュース
- 青森市内の2社を書類送検、労災隠しとは2025.1.9
- NEW
- 青森労働基準監督署は7日、従業員が労災で休業したにもかかわらず報告していなかったとして、青森...
- セミナー
- 吉岡 潤(税理士法人日本経営 パートナー税理士)
- 鈴木 景 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所 パートナー/第二東京弁護士会所属)
- 【オンライン】事業承継を成功させるための法務面・税務面におけるポイント ~令和7年度税制改正大綱を盛り込んで、専門家がわかりやすく解説!~
- 2025/01/17
- 12:00~12:50
- 業務効率化
- クラウドリーガル公式資料ダウンロード
- NEW
- 業務効率化
- ContractS CLM公式資料ダウンロード
- 解説動画
- 江嵜 宗利弁護士
- 【無料】今更聞けない!? 改正電気通信事業法とウェブサービス
- 終了
- 視聴時間53分
- 弁護士
- 水守 真由弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号
- 弁護士
- 髙瀬 政徳弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階