「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の最新動向
2022/03/04 コンプライアンス, 環境法務, 環境法
はじめに
2022年1月14日、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律の施行期日を定める政令」及び「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令」が閣議決定されました。これにより、「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」が2022年4月1日に施行されます。
閣議決定の背景
今回の閣議決定の背景については、海洋プラスチックごみなどを巡る議論の高まりがあります。その生態系に与える甚大な影響から、海洋プラスチックごみ問題や気候変動問題などの課題は地球規模で取り組むべき国際的な課題となっており、SDGsの浸透などを通じ、日本国内におけるプラスチックの資源循環を一層促進する問題意識も議論されるようになりました。こうした背景から、第204回通常国会にて「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(令和3年法律第60号)」が成立しました。同法では、プラスチックを使用した製品の設計からプラスチック廃棄物の処理に至るまで、各フェーズにおいて、あらゆる主体(関係者)に対し、プラスチック資源循環の取組(3R+Renewable)を促進するための措置及び働きかけを講じています。
閣議決定された政令の内容
今回閣議決定された「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令」において決められた内容は主に次の4つです。①「プラスチック使用製品の設計調査」では、プラスチック使用製品製造事業者等が、プラスチック使用製品設計指針への適合性に係る技術的な調査を受ける際の「手数料の額」等を定めるものです。②「特定プラスチック使用製品に係る指定及び当該製品に係る勧告等の対象」では、特定プラスチック使用製品の「対象製品」と「対象業種」に分け、プラスチック製の12品目(カトラリー・アメニティ等)とこれらを無償で提供している小売業・飲食業等を指定し、主務大臣の「勧告等の対象」を当該製品を前年度5t以上提供した事業者とする要件等を定めるものです。③「プラスチック廃棄物の回収・リサイクルに係る業務の委託基準等」については、プラスチック廃棄物のリサイクル計画について、主務大臣の認定を受けた市町村又は事業者が当該計画に係る業務を委託する場合の基準などを定めるものです。最後に④「プラスチック使用製品産業廃棄物等に係る勧告等の対象」については、主務大臣の「勧告等の対象」に関して、プラスチック使用製品産業廃棄物等を前年度250t以上排出した事業者とする要件等を定めるものです。
今後の予定
経済産業省では、今回の施行令と政令に関する要綱や参照条文、新旧対照表を公開しています。また、環境省では、今後のスケジュールを公開しています。環境省によれば、市区町村によるプラスチック使用製品廃棄物の分別収集方法や認定申請方法、事業者による具体的な取組の詳細は、今後手引などを示すとしています。また、同省では2022年1月14日からプラスチック資源循環の周知・広報のための特設サイトを開設しており、「プラスチックは、えらんで、減らして、リサイクル」と題し、プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律に関する情報を順次更新するとのことです。
経済産業省|ニュースリリースアーカイブ
環境省|circulation of plastic resources
コメント
環境省では、2021年10月8日(金)から同年11月7日(日)に実施した「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律施行令案等」に関する意見募集の結果について、262件の募集があったとし、結果をホームページで公開しています。意見にはそれぞれ検討結果がコメントされており、政府の今後の取り組みの参考意見として活用される予定です。先述した環境省特設サイトでは2月中も随時情報が更新されており、4月の法施行までに事業者や自治体、消費者にとって有益な情報が得られるサイトになると考えられます。
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