「マジコン」規制~不正競争防止法改正案提出!~
2011/02/27 知財・ライセンス, 法改正対応, 著作権法, 不正競争防止法, 法改正, エンターテイメント
事実関係
経済産業省は2月21日、「マジコン」による著作権侵害を防ぐため、不正競争防止法の改正案を今国会に提出すると発表した。改正案では、マジコンなどの譲渡に刑事罰を科すことになる。
【マジコン】
マジコンとは、テレビゲームのゲームソフトをコピー(複製、バックアップ)したり、またそのコピーやイメージファイルをゲーム機で起動させるための機械の総称である。
問題点
本来、マジコンは、自作プログラムをゲーム機で動作させるために使用したり、オリジナルのコンテンツが破損した場合に備えて、バックアップを取るためにある。これは、私的複製の範囲にあり、刑事罰を持って臨むほど深刻な問題となっていない。
マジコンが問題となるのは、他者の著作物を違法にコピーし、私的複製の範囲を超えて、不特定多数の人に配布することにある。また、自らが違法にコピーなどをしなくても、現在Web上には、違法にアップされたゲームデータが存在しており、これらのデータを利用して、ゲームが出来てしまうことから、ゲーム会社の逸失利益が大きいことにも問題がある。そのため、マジコンの販売などの行為をも規制の対象とする必要がある。
マジコンに関しては、不正競争防止法によって、コピープロテクトを解除する機能のみが備わっているものに限り、規制の対象としてきた。
2009年2月27日、東京地裁は、マジコン販売業者に対して、マジコンの輸入販売禁止と在庫廃棄を命じる判決を言い渡した。また、これらの流れを受けて、Yahoo!オークションなどへのマジコンの出品を禁止する動きが出た。
しかし、不正競争防止法では、刑事罰が規定されておらず、個別の民事差止請求・損害賠償請求によらなければならない。結局、マジコンは秋葉原などでの販売が止まない状態である。そこで、今回の刑事罰を盛り込んだ、改正案が必要とされたということである。
とくに、任天堂のDSについては、2月26日に「ニンテンドー3DS」という商品が発売され、話題を呼んでいる。このマジコンの被害について、DSがよく取り上げられていることもあり、今回の改正案の提出は、今後のマジコン被害に対して、強い態度で臨むことの現われでもあると感じる。
関連事項
DVDなどの映像ソフトをコピー(複製)する行為は、家庭内であっても違法とすることが検討されている。暗号化技術を使って保護されているソフトを対象。保護を破るプログラムの製造や配布も禁止することになりそうだ。もっとも、複製行為については罰則は設けない。
文化庁は、違法な海賊版ゲームソフトを使えるようにする装置「マジコン」の規制とセットで著作権法を改正する方針。先月25日に行われた文化審議会著作権分科会でまとめられた報告書の中で、著作権法においてアクセスコントロール回避規制を盛り込む旨がなされた。
もっとも、安易なアクセスコントロール回避規制は国民の正当なコンテンツ利用を不当に妨げる可能性がある。
この点について、一般社団法人インターネットユーザー協会から意見が提出され、HP上で公開されています。(一般社団法人インターネットユーザー協会HPリンク)
最後に
先日書いた記事(「着うた」配信サービス…)でも触れたが、著作権法は、著作物の保護と利用のバランスを図りながら、権利者と第三者との調整を図っている。現在、違法アップロードやダウンロードが蔓延している中で、権利者の利益を守ることは、とても重要である。
しかし、ここでも行き過ぎてしまうことは、社会的な損害は大きいことも考えられる。だからこそ、国民みんなで、この点について考えていく必要があるとも思える。
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