電動キックボード「LUUP」の貸出返却スペースの奥に消火器?消防法違反の可能性も
2024/10/23 コンプライアンス, 業法対応, ベンチャー全般, サービス
はじめに
電動キックボードなどのシェアリングサービス「LUUP(ループ)」が急成長を遂げています。2023年7月に改正道路交通法が施行された日にスタートした電動キックボードの貸し出しサービス。短距離を手軽に移動できることから人気となっており、日本全国に置かれた貸し出し・返却スペース「ポート」の設置数は、既に約1万ケ所にのぼるということです。
しかし、一部のポートの設置場所を巡り、「消防法違反ではないか」との議論がSNSを中心に行われています。
道交法改正で電動キックボードが免許不要に
LUUPは、株式会社Luupが展開する電動キックボードや小型電動アシスト自転車のシェアリングサービスです。
2020年5月に電動アシスト自転車のみでシェアサービスがスタートしましたが、2023年7月1日に施行された道路交通法改正に伴い、電動キックボードの貸し出しサービスの提供も開始しました。
LUUPが電動キックボードの提供をスタートできたのは、改正道路交通法で電動キックボードの取り扱いが見直されたからでした。改正前までは電動キックボードは原付バイクや自動車と同じ扱いで運転免許が必要でした。しかし、改正法では一定の基準を満たす電動キックボードは「特定小型原動機付自転車」と定義され、16歳以上であれば運転免許なしで運転が可能と定められたのです。
電動キックボードのうち、免許が不要となるものは次の基準を全て満たすものを指します。逆に言うと、以下の内容を満たさない電動キックボードは運転免許が必要となります。
◯車体の大きさ
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消火器の手前にポート?消防法違反の指摘も
電動キックボードなどは「ポート」と呼ばれる場所に停車されており、利用者は最寄りのポートで乗り物を借り、目的地付近のポートで返却する仕組みとなっています。
ポートは目印となる青いテープを貼ることで完成し、比較的小さなスペースに設置できるといいます。設置へのハードルの低さも相まって、マンションや店舗のオーナーなどが敷地の空きスペースに設置し、ポート数が急速に拡大していったということです。
しかしSNS上で、一部のポートが消火器の手前に設置されている写真などが投稿され、議論を呼びました。こうしたポートの近隣住民からは、「万が一火災などがあった際に電動キックボードなどが妨げとなり、消火器を取り出しにくいのではないか」と心配する声も上がっています。
消火器の他にも緊急時の避難器具降下地点に設置されているケースなどもあるとされており、消防法違反を指摘する専門家の声も報じられています。
Luup社では、ガイドラインにて「消防用設備の使用に支障のある場所には設置しないよう」に定めているといいます。しかし、中には見落としがあり、これまでに消防署から指導を受けて対応を行なったケースもあるということです。
コメント
消防関係法令では、一部の建物に消火器を設置するよう義務付けています。その際の設置場所についても、「通行又は避難に支障がなく、必要時にすぐに持ち出せる場所に設置すること」と条件が定められています。
また、避難器具の設置場所についても、降下空間に物が置いてあった場合などには、法令違反になる可能性があるとして、消防署から撤去の指導を受ける可能性があるといいます。
Luup社では、ポートの場所を同社の担当者と物件オーナー(または管理会社)との協議で決めるとされていますが、その際に、こうした消防法の規制に配慮した協議が一部で行われなかった疑いが持たれています。
急速に成長するサービスだからこそ、法務部門として、法的リスクを丁寧に洗い出し、現場の運用に粘り強く落とし込む必要がありそうです。
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