進む遺伝子研究。差別などの問題はいかに防ぐ?
2011/07/21 薬事法務, 民法・商法, その他
もやもや病のリスク遺伝子が特定
脳の血管が細くなり脳出血などを引き起こすもやもや病。シンガーソングライターの徳永英明さんが罹患したことでも有名な難病だが、京都大などのグループが、この病気のリスク遺伝子を特定した。
治療法の開発などに有益な成果とされる。
遺伝子診断と安易な遺伝子差別などのおそれ
遺伝子が関わる病気の治療法を開発するなど、遺伝子研究が進むことは人類の発展にとって有益なことと言えよう。
反面、遺伝子診断などで個人の遺伝子情報が明らかになり、リスク遺伝子を有していることがわかれば、それにより本人が精神的ショックを受けたり、就職や結婚などの面で差別がなされるおそれも増加する。
したがって、遺伝子情報は重要なプライバシーに関わるものとして、よりデリケートな扱いを要するものとなろう。
冷静な視点をもとう
もっとも、リスク遺伝子が特定された場合であっても、それが直ちに病気を引き起こすというものではなく、生活習慣などの後天的な影響が大きかったり、ウイルス感染など他の要因も考えられるなど、病気との関連性は単純なものではないことが明らかになってきている。
また、特定疾患の因子となる遺伝子が、一定の病原菌に抵抗を示すことが明らかになるなど(例えば、貧血を起こす鎌状赤血球症の因子はマラリア病原虫に抵抗を示す)、必ずしも遺伝子の優劣が決められない事例もある。
今後は、特定のリスク遺伝子をもっているか否かを絶対視せず、冷静に物事を見る視点がより重要なものとなってくるだろう。
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