先発明主義アメリカがついに変わる? 「リーヒ・スミス米国発明法案」について
2011/09/13 海外法務, 知財・ライセンス, 特許法, 外国法, その他
概要
最新の米特許法改正案である「リーヒ・スミス米国発明法案」(Leahy-Smith America Invents Act)が米国時間9月8日、米上院において89対9で可決された。下院では2011年6月に可決されており、法案成立のために残る手続きはオバマ大統領の署名のみとなっている。
詳細
この法案が成立すれば、アメリカの特許制度を激変させる歴史的な法律になると見られている。それは、「先発明主義」から「先願主義」への転換がこの法案に盛り込まれているからだ。
現在、アメリカでは出願時期にかかわらず、最初の発明に特許が与えられる「先発明主義」を採用している。
しかし、日本を始めほとんどの先進国は出願の時期によって特許を付与する「先願主義」を採用しており、アメリカの知的財産処理は国際社会で孤立している現状。
07年にも特許法の改正案が提出されたが、「先発明主義こそが新技術の創造を促す」と主張する個人発明家や中小企業団体の反対で成立しなかった。
今回の法案は、Microsoft、Google、Appleなどグローバルに展開するアメリカ企業からの状況改善の要望に応じたもので、特許制度問題に関心の高いオバマ大統領の署名が得られる可能性も高いようだ。
解説
【先願主義】
発明の日時によらず、特許出願の日時によって特許を付与する制度。出願の日時という明確な基準で特許問題を処理できる。
【先発明主義】
出願の日時によらず、発明の先後によって特許を付与する制度。特許問題になった場合、発明の日時がいつであるかを証明する手続きが必要となり、紛争が長期化する傾向がある。
一方で、発明者に有利な制度であるので、個人発明家やベンチャー企業に有利な制度となっている。
感想
特許を学んだ者ならば半ば常識となっていたアメリカの「先発明主義」が変わるかもしれないということにまず衝撃を覚えた。
また、当然日本に無関係な話題ではなく、日本企業もアメリカ流の手続きを踏まなければならなくなるということでもある。
新たな法務ニーズが生まれるのか、余計な手続きが増えるだけなのか。
法案の成立はまだ決定ではないが、様々なことを考えさせられるニュースだと思った。
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