京都地裁 携帯電話の中途解約金条項の使用差止請求認められず
2012/04/04 消費者取引関連法務, 消費者契約法, その他
京都地裁(吉川愼一裁判長)は3月28日、携帯電話の利用契約を締結する際に使用している中途解約金条項は消費者契約法9条1号並びに10条に該当するとして、同条項の使用差止めを請求した事案に対して、解約金条項における金額は合理的なものであるとして、原告の請求を棄却した。
この裁判では、①解約金条項について消費者契約法の規制が及ぶのか、②解約金条項が消費者契約法9条1号(解除における賠償額が平均的な額を超えるもの)に該当するか、③解約金条項が消費者契約法10条前段(公の秩序に関しない規定の場合に比し、消費者の権利を制限し、消費者の義務を加重するもの)に該当するか、④解約金条項が消費者契約法10条後段(民法1条2項の基本原則に反し、消費者の利益を一方的に害するもの)に該当するか否かなどが判断されている。
そして、①については契約上の対価への合意ではなく、契約期間内の解約に対する違約金についての条項であるとして消費者契約法の規制を受けると判断している。
②については、解約金条項における解約金の額から解約による損害額の平均額を上回らないとして9条1号には該当しないとし、③については、中途解約をする消費者に対して委任契約の場合に比して消費者の義務を加重しているとしている。しかし、④において、制限が一方的に不合理なものではなく消費者も対価を得ているとし10条には該当しないと判断している。
現在の携帯電話利用契約においては、長期間の契約を締結する代わりに安い利用料による提供をする契約形態が多数を占めていると思われる。そのため、やむを得ず、中途解約をする場合も生じてしまうが、この判決により、一定の道筋が立ったようにも思える。しかし、中途解約が認められる場合など各事案によって異なるはずであるし、現在も複数の訴訟が係属していると思えることから他の訴訟の判断にも注目していきたい。
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