【法務NAVIまとめ】在宅勤務制度の導入について
2016/08/18 労務法務, 労働法全般, その他
はじめに
昨今在宅勤務制度が、ワークライフバランスの観点から、通勤負担の軽減に加え、多様な生活環境にある個々人のニーズに対応することができるとして広がりをみせてきています。企業が導入するにあたって、どのようなメリット・デメリットがあるのか、考えるべき点、導入に関する流れ等をまとめました。
一般社団法人日本テレワーク協会ホームページ
テレワークの導入・活用に向けて INDEX
定義
「テレワーク」とは、情報通信機器を活用して、働く者が時間と場所を自由に選択して働くことができる働き方の総称です。在宅勤務だけでなく様々な働き方があります。国もテレワーク人口の増加を推奨しています。
テレワークの形態
(1) 事業主と雇用関係にある働き方
・在宅勤務
労働者が、労働時間の全部又は一部について、自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態。
在宅のみで就労するパターンもありますが、週1,2日だけ在宅勤務を導入することも可能です。
・サテライトオフィス勤務
労働者が属する部署があるメインのオフィスではなく、
郊外の住宅地に近接した地域にある小規模なオフィス等で業務に従事する。
・モバイルワーク
ノートパソコン、携帯電話等を活用して臨機応変に選択した場所で業務に従事する。
(2) 事業主と雇用関係にない働き方(請負契約等に基づく)
・在宅就業
請負契約等に基づき、情報通信機器を活用してサービスの提供
(テープ起こし、ホームページの作成など)を在宅形態で行う働き方。
この場合、雇用契約ではないので、後述する労働基準法等の適用がありません。
(3) 雇用契約と非雇用契約との違い
個人に働いてもらう場合、雇用契約(労働契約)を締結する場合と、そうでない場合があります。
非雇用契約には、請負契約、委任契約、業務委託契約などの形があります。
非雇用契約には労働基準法等が適用されないため、一般的にコストを削減できます。
ただし、偽装請負として問題になっているように、実質的には労働契約であるとみなされると、責任を問われることがあるので、注意が必要です。
◆雇用契約と請負契約の労務上の違い
これらの契約に共通するのは、当事者の役務の利用を目的とする契約であるという点です。
違いは、
雇用契約:労働に従事することが契約の目的と内容
請負契約:委託された業務についての「仕事の完成」が契約の目的
(例:建物の建築、機械の製造、システムの開発)
委任契約:他人を信頼して事務処理を委託する契約
「仕事の完成」という目的のない、継続的な事務処理であることが請負との違いです。
(例:診療契約、弁護士依頼契約、不動産取引仲介契約)
※業務委託契約は、請負契約と委任契約どちらに近いかで請負系、委任系に分類でき、注意すべき点は両契約と同じです。
労務上の違い
◇当事者の関係(労働者or事業者)
雇用契約:労働者は使用者に従属し役務の提供が行われる
請負契約:注文者と請負人は独立した関係で役務の提供が行われる
◇相手方の地位(各種労働法の適用の有無)
雇用契約:「労働者」
労働基準法や労災保険法、雇用保険法等の各種労働法の適用を受けます。
また、企業側も休日や休暇、割増賃金など様々な制約を受けることになります。
非雇用契約:個人事業主
前記の各種労働法の適用がなく、
何時間働いても残業代なし、休日に働いても休日手当なし(労働基準法対象外)、
仕事中に事故が起きても自己責任(労災対象外)、
仕事がなくなっても自己責任(雇用保険対象外)です。
したがって、企業側からすれば非雇用契約(主として請負契約が多く用いられます)の方が大幅な人件費カットや節税が可能になりえます。
しかし、注意しなければならないのは、
仮に書面上で請負契約や業務委託契約を締結していても、
実態として労働者性があると判断された場合には、違法な偽装請負となり、結果として労働法の適用を受けるという点です。
◆労働者性の判断基準
①仕事の受注や業務への従事に関して自由裁量があるかどうか
②仕事を進めていく上で指揮命令を受けているかどうか
③仕事をする上で場所や時間を拘束されているか
④請け負った仕事を代わりの者がやってもよいかどうか
⑤報酬の支払形態がどのようになっているか
⑥自己の所有する機械・器具などの機材を用いて仕事を行っているか
⑦報酬の額が同種の業務を行う正規労働者と比べて高額であるか
⑧他社の業務に従事することが困難であるような制約をうけているか
最も重要なのは、相手方が「自己の計算と責任のもとで仕事を行うのか否か」ということです。
本来、個人事業主は、
①自分のやりたくない仕事はしなくていい
②自分のやり方で仕事を進めることができる
③請け負った仕事がこなせれば、どこでその仕事をやってもいい(場所は自由)
④手が足りなければ下請け業者を使うこともできる
⑤労務提供に対する時間給等ではなく、仕事の対価として報酬をもらう
⑥自己の所有物で仕事をする(または必要に応じてお金を払って他人のものを借りてする)
という性質があります。
◆偽装請負の労務リスク
相手方に労働者性が認められた場合、企業には次のような労務リスクが発生することになります。
①団体交渉のリスク
何らかの原因で相手方が労働組合に駆け込み、加入し、労働者性が認められれば企業側には当該労働組合との団体交渉に応じる義務が発生し、交渉の結果相当の措置を求められることとなります。
②割増賃金のリスク
請負報酬は時間当たりの報酬ではありませんが、労働者性が認められれば実質的な労働時間相当分の残業代を請求されるリスクが生じます。
③保険適用、保険料負担のリスク
請負契約では当然ながら社会保険(健康保険・厚生年金保険)、労働保険(労災保険・雇用保険)ともに適用外ですが、労働者性が認められれば相当期間の遡及適用となり応分の保険料負担というリスクが生じます。
④身分保障のリスク
仕事の対価としての報酬だけでいい請負者と違い、労働者性が認められてしまうと雇用の義務(解雇や契約期間の問題)という身分保障のリスクも発生することとなります。
⑤集団離職のリスク
社員を請負契約に変更した場合、その社員達の不満が高まれば、集団離職というリスクが生じます。自社の社員が全員、突然いなくなった時のことを想像してみてください。
以上のようなリスクを踏まえ、業務の実情に照らして、適切な契約類型を選択するようにしましょう。
・経理サポートクラブ
雇用契約と請負契約の労務上の違いと労務リスク
・経理サポートクラブ
雇用契約と請負契約の違いとは
・株式会社トリプルウィンコンサルティング
社会保険労務士事務所トリプルウィン
雇用契約ではなく業務委託契約にする場合の注意点
テレワークのメリット・デメリット
メリット
【企業側】
・仕事の生産性・効率性の向上
・成果物による評価が可能であり、人事考課にも反映させやすい。
・交通費の削減
・オフィスコストの削減
(フロア単位、組織単位などで、大規模にテレワークを実施することにより、
節電効果が見込まれる。)
・優秀な人材の確保
・BCP(事業継続性計画:Business Continuity Plan)へのつながり
(2011年3月の東日本大震災を受けた、首都圏での公共交通機関の運休時、
計画停電の実施時などにおいて、円滑な業務実施・継続を可能とするとして関心を集めました。)
【労働者側】
・仕事の生産性・効率性の向上
・通勤に関する肉体的、精神的負担が少ない。
・家族との団欒が増える。
・様々なライフイベントに柔軟に対応できる。
デメリット
【企業側】
・労働者の労働時間や健康等、労務管理が難しい
・顔の見えない状況で仕事を割り振らなければならず、同じ場所で就労していれば
できるような細かい指示がしづらく、マネジメントが難しい。
・労務管理体制を新しくする必要がある。
・労働者の評価がしにくい。
・OJTによる社内教育がしにくくなる。
【労働者側】
・勤務時間帯と日常生活時間帯が混在せざるを得ない。
・頑張っているか、ではなく、成果や成果物により評価されるため、
通常勤務より厳しい労働にもなりうる。
・労働時間と家事の区別がつかなくなる。
(労働は労働、家事は家事、と割り切って自分を律する力が必要になる。)
一般社団法人日本テレワーク協会
テレワークによる節電対策と効果
東日本大震災とテレワーク
東洋経済オンライン
「在宅勤務」はむしろ従業員に厳しい制度だ(2016年8月9日(火)8時0分配信)
テレワーク実践例
◆テレワーク実践事例集
総務省
テレワーク導入事例集
テレワーク導入企業に対して調査を行い、事例集として策定した事例集です。
テレワーク導入のポイント
テレワーク導入にあたっては、
①労務管理方法
②情報通信システム・機器
③テレワーカーの執務環境
の3つの側面から必要事項を検討することが大切です。
在宅勤務の場合においても、事業主と雇用関係にある勤務形態であれば、
労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働基準関係法令が適用されます。
雇用関係でない、在宅就業の場合には、上記法令の適用がありません。
以下、雇用関係にある勤務形態を前提に解説します。
1.労務管理方法
◆労働条件の明示
使用者は、労働契約を締結する者に対し在宅勤務を行わせることとする場合においては、
労働契約の締結に際し、就業の場所として、労働者の自宅を明示しなければなりません(労働基準法施行規則第5条第2項)。
◆時間管理の方法
通常の労働時間制・事業場外みなし労働時間制・裁量労働制のいずれも利用可能です。
事業場外みなし労働時間制については後述します。
就業時間の把握、社内、在宅勤務者相互のコミュニケーション方法については、
・労働者が業務開始、終了をメールで報告する。
・在宅勤務日は原則として、前の週に届け出て、計画的に業務する。
・コミュニケーションツールのステータス表示で、社内、在宅勤務者相互の状況を把握する。
などの工夫が考えられます。
◆業績評価等の取扱い
週に1,2日程度の在宅勤務の場合は、評価制度を変える必要はありませんが、フルの在宅勤務の場合は検討が必要になります。
在宅勤務は労働者が職場に出勤しないことなどから、業績評価等について懸念を抱くことのないように、評価制度、賃金制度を構築することが望ましいとされます。
また、業績評価や人事管理に関して、在宅勤務を行う労働者について通常の労働者と異なる取り扱いを行う場合には、あらかじめ在宅勤務を選択しようとする労働者に対して当該取り扱いの内容を説明すべきです。
なお、在宅勤務を行う労働者について、通常の労働者と異なる賃金制度等を定める場合には、当該事項について就業規則を作成・変更し、届け出なければなりません(労働基準法第89条第2号)。
◆事業場外みなし労働時間制について
在宅勤務は労働者の自宅で行われますが、事業主が労働者の私生活にむやみに介入すべきではなく、労働者の勤務時間帯と日常生活時間帯が混在せざるを得ないため、使用者が労働者の労働時間を把握することが困難です。そこで、一定の場合には、労働時間を算定し難い働き方として、事業場外労働のみなし労働時間制(労働基準法第38条の2)を適用することができます。
(参考:平成16年3月5日付け基発第0305001号「情報通信機器を活用した在宅勤務に関する労働基準法第38条の2の適用について」)
(1) みなし労働時間制適用の要件
次に掲げるいずれの要件をも満たす形態で行われる在宅勤務については、原則として、みなし労働時間制が適用されます。
① 当該業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること。
② 当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと。
③ 当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと。
(2) みなし労働時間制を適用した場合
在宅勤務についてみなし労働時間制が適用される場合は、在宅勤務を行う労働者が就業規則等で定められた所定労働時間を勤務したものとみなされることになります。業務を遂行するために通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合には、その必要とされる時間労働したものとみなされます。労使の書面による協定があり、それを労働基準監督署長へ届け出れば、協定で定めた時間が通常必要とされる時間とされます(労働基準法第38条の2)。
(3) 残業代、深夜労働の割増賃金
みなし労働時間制を適用する場合であっても、労働したものとみなされる時間が法定労働時間を超える場合には、時間外労働に係る三六協定の締結、届出及び時間外労働に係る割増賃金の支払いが必要となります(労働基準法第36条)。
また、現実に深夜に労働した場合には、深夜労働に係る割増賃金の支払いが必要となります(労働基準法第37条)。
このようなことから、労働者は、業務に従事した時間を日報等において記録し、事業主はそれにより在宅勤務を行う労働者の労働時間の状況の適切な把握に努め、必要に応じて所定労働時間や業務内容等について改善を行うことが望ましいとされています。
(4) 労働基準法上の労働時間にあたらない場合
以下の全てにあてはまった場合、深夜または休日の労働は、使用者のいかなる関与もなしに行われたものであると評価でき、労働基準法上の労働時間にあたらず、賃金請求権が発生しません。
① みなし労働時間制が適用されている労働者が、深夜又は休日に業務を行ったこと
② 事業場における事前許可制、事後報告制の定めがあること
(就業規則等により、深夜又は休日に業務を行う場合には事前に申告し使用者の許可を得なければならず、かつ、深夜又は休日に業務を行った実績について事後に使用者に報告しなければならないとされていること)
③ 深夜若しくは休日の労働について労働者からの事前申告がなかったか、または事前に申告されたが許可を与えなかったこと
④ 労働者から事後報告がなかったこと
⑤ 深夜又は休日に労働することについて、使用者から強制されたり、義務付けられたりした事実がないこと。
⑥ 当該労働者の当日の業務量が過大である場合や期限の設定が不適切である場合など、深夜又は休日に労働せざるを得ないような使用者からの黙示の指揮命令があったと解し得る事情がないこと。
⑦ 深夜又は休日に当該労働者からメールが送信されていたり、深夜又は休日に労働しなければ生み出し得ないような成果物が提出された等、深夜又は休日労働を行ったことが客観的に推測できるような事実がなく、使用者が深夜・休日の労働を知り得なかったこと。
ただし、上記の事業場における事前許可制及び事後報告制については、以下の点をいずれも満たしていなければなりません。
❶ 労働者からの事前の申告に上限時間が設けられていたり、労働者が実績どおりに申告しないよう使用者から働きかけや圧力があったりしたなど、当該事業場における事前許可制が実態を反映していないと解し得る事情がないこと。
❷ 深夜又は休日に業務を行った実績について、当該労働者からの事後の報告に上限時間が設けられていたり、労働者が実績どおりに報告しないように使用者から働きかけや圧力があったりしたなど、当該事業場における事後報告制が実態を反映していないと解し得る事情がないこと。
2.情報通信システム・機器
情報セキュリティに配慮したシステムの導入が必要です。
◆情報通信機器
テレワークを実施するために必要となるICT環境にはいくつかのパターンがあります。
(1) 通常のPCとVPN(Virtual Private Network)システムを利用する。
(2) シンクライアントPC(ハードディスクがないため、データが残らない)とシンクライアントサーバを利用する。
(3) 通常のPCに認証用USBキーを差して、仮想シンクライアント環境を構築する。
(1)~(3)のいずれも、情報通信ネットワークのセキュリティは一定程度、確保されています。
一般的に(1)、(3)が、イニシャルコストが低額で済みます。
(3)は、在宅勤務やモバイルワークで、ハードディスクを搭載している一般のPCであっても、
認証用USBキー1本で、当該PCにデータを残さないので、(1)と比較して、よりセキュリティレベルが高いです。
◆電話
以下のような方法があります。
内線にかかってきた電話を携帯やPCのソフトフォンで受信することも可能です。
・会社支給の携帯電話を利用
・個人の携帯電話の請求先を会社と個人に分ける
・ソフトフォンを使う
◆遠隔会議システム
以下のシステムがあります。
・テレビ会議システム
・Web会議システム
・電話会議システム
Web会議システムは、クライアントPCにソフトを搭載する必要がないので、利便性が高いです。
◆データ管理、共有方法
・社外から社内サーバにアクセスできる環境構築
・紙資料のデータ化
3.在宅勤務時の執務環境
就業者の健康に配慮した環境になっていること、
情報の物理的セキュリティを確保できることが重要です。
◆作業環境管理
在宅勤務の場合、自宅での作業になるので、プライバシーに配慮しつつ作業環境に関するルールづくりが必要です。
作業環境としては、机・椅子、照明設備、空調等を検討します。
会社から机・椅子を支給する場合もあります。
◆労働安全衛生法上の注意点
(1) 事業者は、通常の労働者と同様に、在宅勤務を行う労働者についても、
その健康保持を確保する必要があり、必要な健康診断を行う必要があります
(労働安全衛生法第66条第1項)。
(2) 在宅勤務を行う労働者を雇い入れたときは、必要な安全衛生教育を行うことが求められます(労働安全衛生法第59条第1項)。
(3) 事業者は在宅勤務の労働者自身の健康を確保する観点から、
「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(平成14年4月5日基発第0405001 号)等に留意する必要があり、労働者に対してその内容を周知し、必要な助言を行うことが望ましいとされています。
注:VDT作業とは、ディスプレイ、キーボード等により構成されるVDT(Visual Display Terminals)機器を使用して、データの入力・検索・照合等、文章・画像等の作成・編集・修正等、プログラミング、監視等を行う作業をいいます。
厚生労働省
「VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン」(平成14年4月5日基発第0405001号)
◆労働災害
労働者災害補償保険においては、業務が原因である災害については、業務上の災害として保険給付の対象となります。
自宅における私的行為が原因であるものは、業務上の災害とはなりません。
4.テレワーカー宅における通信環境や光熱費の経費負担
在宅勤務に係る通信費や情報通信機器等の費用負担については、通常の勤務と異なり、在宅勤務を行う労働者がその負担を負うことがあり得ることから、労使のどちらが行うか、また、事業主が負担する場合における限度額、さらに労働者が請求する場合の請求方法等については、あらかじめ労使で十分に話し合い、就業規則等において定めておくことが望ましいです。
特に、労働者に情報通信機器等、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合には、当該事項について就業規則に規定しなければならないこととされています(労働基準法第89条第5号)。
通信インフラについては、個人契約の通信インフラを活用し、追加費用が発生しない場合には会社は負担せず、追加費用分について会社負担とする企業が多いです。
あらかじめ、会社とテレワーカーで取り決めをしておくことが重要です。
厚生労働省
情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン
一般社団法人日本テレワーク協会
テレワーク導入のポイント
5.その他在宅勤務を適切に導入及び実施するに当たっての注意点
(1) 労使双方の共通の認識
在宅勤務の制度を適切に導入するに当たっては、労使で認識に齟齬のないように、あらかじめ導入の目的、対象となる業務、労働者の範囲、在宅勤務の方法等について、労使委員会等の場で十分に納得のいくまで協議し、文書にして保存する等の手続きをすることが望ましいとされています。
また、新たに在宅勤務の制度を導入する際、個々の労働者が在宅勤務の対象となり得る場合であっても、実際に在宅勤務をするかどうかは本人の意思によることとすべきです。
(2) 業務の円滑な遂行
在宅勤務を行う労働者が業務を円滑かつ効率的に遂行するためには、業務内容や業務遂行方法等を文書にして交付するなど明確にして行わせることが望ましい。また、あらかじめ通常または緊急時の連絡方法について、労使間で取り決めておくことが望ましい。
(3) 社内教育等の取扱い
在宅勤務を行う労働者については、OJTによる教育の機会が得がたい面もあることから、労働者が能力開発等において不安に感じることのないよう、社内教育等の充実を図ることが望ましいとされています。
なお、在宅勤務を行う労働者について、社内教育や研修制度に関する定めをする場合には、当該事項について就業規則に規定しなければなりません(労働基準法第89条第7号)。
おわりに
テレワークは、企業にとっては、導入にあたっての制度やシステムの構築が必要となり、躊躇する勤務形態であるともいえますが、一旦制度が確立すれば、十分に活用でき、労使双方にとってメリットも多い働き方だといえます。
在宅で作業可能な職種で、週1,2日であれば、比較的容易に導入できます。
制度の選択肢も豊富です。自由な働き方で、かつ生産性も上がる勤務形態を、自社に合ったかたちで導入してみてはいかがでしょうか。
以上
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