三洋電機の株主代表訴訟、原告の請求棄却
2012/10/03 商事法務, 会社法, メーカー
事案の概要
三洋電機の元株主(現・親会社パナソニック株主)が、創業家一族ら旧経営陣15人を相手取り、三洋電機が子会社の株式の評価損を過少計上して違法な配当で会社に損害を与えたとして、同社に計約278億円を賠償するよう求めた株主代表訴訟の判決が28日、大阪地裁であった。
元株主側は「保有株が、取得価格から50%以上低下した場合は減損処理する」との金融庁などの会計基準に反し、一部のグループ会社株の損失のみを計上したと主張。この基準では、将来の株式の価値回復が見込まれれば損失計上しないことも認められるが、「他の大半の株の回復可能性を検討しなかった」と訴えた。
判決によると、同社は2002年9月中間期~04年9月中間期、株式の評価額などをもとに決算書を作成、配当可能利益として計約278億円を配当しており、株式の価格回復が見込めない場合は減損処理が必要とされることから、訴訟は、旧経営陣がこれに反した計上を行ったかどうかが争点だった。
松田裁判長は判決理由で、株価の回復を見込むかどうかは経営判断によるとした上で、「旧経営陣は、具体的な資料をもとに専門家も交えて検討し、将来的に回復する可能性があるとした。その判断には合理性がある」と認定し、「会計処理する際の経営判断が不合理だったとは言えず、違法配当には当たらない」として訴えを棄却した。原告側は控訴する方針だ。
コメント
本件において、争点は株式の価格回復が見込めたかどうかだが、そういった経営判断は会社内部の者でなければ不明瞭な部分もあり、株主代表訴訟を提起するに際し適切な判断資料を提供できるようなシステムを構築する必要があるだろう。
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