ブルームバーグの元記者の解雇、高裁でも無効と判断
2013/04/25 労務法務, 労働法全般, その他
事案の概要
アメリカの通信社、ブルームバーグ東京支局の元記者の男性(51)が「能力不足」での解雇は無効であるとして、同社に地位確認などを求めた訴訟の控訴審判決が24日、東京高裁(坂井満裁判長)であった。
一審の東京地裁(2012年10月5日)では、解雇は無効であるとして、男性側勝訴の判断を示していたが、高裁もこれを支持し、会社側の控訴を棄却した。ブルームバーグ社は、控訴審において、「国際企業と一般的な日本企業との雇用形態には差異がある」として 、国際企業については、解雇権濫用法理を厳格に適用すべきでないと主張していた。しかし裁判所は「日本企業と国際企業の人事制度の違いを具体的に示していない」とし、同社の主張は認められなかった。
元記者の男性は、2009年12月から2010年3月にかけて会社から、PIP(パフォーマンス・インプルーブメントプログラム:業務改善プログラム)を命じられ、独自記事の本数などについて、ノルマが課せられていたが、会社側からノルマ未達成、能力不足を理由に同年8月に解雇されるに至った。 男性は、解雇は無効であるとして会社を訴え、一審東京地裁は解雇は無効であると判決していた。
コメント
企業が従業員にノルマを課したり、業務の改善を求めるのは当然のことといえる。しかしそれが、従業員に重大な不利益を及ぼすために利用されることがあってはならない。従業員に業務改善プログラムを施す場合には、企業側にきめ細かな対応が求められる。
現在、政府において解雇規制の緩和が議論されている。実現されれば、雇用の流動化が加速していくと予想される。本判決はそうした状況下で、貴重な意義を有しているといえる。
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