メーカーが小売価格指定可能に
2013/06/20 独禁法対応, 独占禁止法, メーカー
事案の概要
経済産業省と公正取引委員会はメーカーの価格指定を禁じた独占禁止法の運用指針の改定に乗り出した。
現行の運用指針では、メーカーの価格指定は流通段階での自由で公正な競争を阻害するものとして原則禁止されている。これにより小売り側が自由に価格を設定できるオープン価格が導入され、小売り側が価格決定権のイニシアティブを取るようになった。
しかし、少子化による国内市場の売り上げが頭打ちとなる中、過剰な価格競争を強いられた多くのメーカーが業績不振に陥る結果となり、また、日本国内におけるデフレを加速する要因ともなった。
そこで、経産省は安値競争の緩和を図り、メーカーの業績回復を図ることを視野に独禁法の運用指針改正に乗り出した。
コメント
日本ではメーカーが小売価格を指定しこれを小売店に遵守させる行為(これを「再販価格維持行為」と言う)は独占禁止法(独禁法)2条第9項にいう不公正な取引方法に該当するとして原則として禁止されている。
これは、流通段階での自由で公正な競争を阻害し、需要と供給の原則に基づく正常な価格形成を妨げることを理由とする。
この点から考えると、メーカーの保護を理由として、再販価格維持行為を容認することは、小売り側にとっては価格設定について制約をを課されることになり、自由で公正な競争を阻害され、上記独禁法の趣旨に反する結果となる。
加えて、小売りに対する再販価格維持行為を容認しても、インターネット通販等に対して再販価格維持がなされなければ、結局安値競争には歯止めがかからず、小売り側に制約が課されるだけの結果となる。
これでは、デメリットこそあれど、メリットはないと言える。
現在の販売現場の実情、および自由で公正な競争という独禁法の規制の趣旨からすると、このような小売り側に制約を課していく運用は効果的といえるのか疑問である。
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