キャノン、Googleなどが特許訴訟対策の協定を締結
2014/07/11 知財・ライセンス, 特許法, その他
事案の概要
キャノン、Google、Dropboxなど6社は7月10日、特許訴訟への対策として「LOT(license on transfer)ネットワーク 」を設立したと発表した。
これは「パテント・トロール」といわれる、利益を上げる目的で特許訴訟を提起する専門会社からの訴訟リスクを低減することを目的としている。
「パテント・トロール」は自社で技術、製品を創り出すことなく、第三者から特許権を買い取り、特許訴訟を提起し和解金、賠償金を獲得する。
今回設立された「LOTネットワーク」の仕組みは、参加企業が自社の特許を売却する際に、他の参加企業にライセンスを無償で発行し「パテント・トロール」から訴えられないようにするものである。
アメリカの特許訴訟件数は、昨年6000件以上を記録しその大半は「パテント・トロール」によるものだったという。
こうした背景もあり、アメリカでは「パテント・トロール対策法案(The Innovation Act)」が提出され、2013年12月下院で可決されたが、未だ上院では可決されておらず暗礁に乗り上げている状態である。
同法案には、訴訟を提起する際は侵害理由を詳述しなければならないことや、敗訴者の弁護士費用負担の変更などが盛り込まれている。現状では反対派によるロビー活動により法案成立の見通しが立たないままである。
日本の企業も特許訴訟を提起されるケースが増えてきており、訴訟リスクを軽減する仕組みの構築が求められていた。キャノンの発表によると今後も参加企業を増やし、特許防衛のネットワークを広げていく予定であるという。
コメント
海外展開する日本企業が増えていく一方で、海外で特許訴訟に巻き込まれる企業も増えてきている。今回のように連合を組むことによって訴訟リスクを事前に低減することは極めて有効である。
またこれとともに知財専門の法務スタッフの雇用、育成や現地の情勢を踏まえた訴訟戦略を構築していくことが重要となる。
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