USJ ハリポタ好調追い風に再上場・カジノ参入準備
2014/08/12 事業再生・倒産, 民法・商法, その他
事案の概要
テーマパーク「ユニバーサル・スタジオ・ジャパン」(USJ、大阪市此花区)は、今年7月に映画「ハリー・ポッター」をテーマにした新エリアをオープンし、連日にぎわいを見せている。
USJは大阪市などが出資する第3セクターとして、2001年にテーマパークを開業後、2007年に東証マザーズに上場した。しかし、入場者数が落ち込み、リーマン・ショックの影響などで株価も低迷。立て直しのため、2009年に株主のゴールドマンサックスなどで株式公開買い付け(TOB)を行い上場廃止となった。その後、大人向け映画専門パークから脱却し、ファミリー層向けイベントを開催するなど客層を広げる努力をして経営再建に取り組んできた。その結果、国内外からの集客増で、昨年度の入場者数は開業直後に迫る1千万人を突破している。
来年度にも東京証券取引所第1部への株式上場を検討しており、上場によって市場から調達した資金を、国内外で計画している新パーク建設などに充てる考えである。また、カジノを中核とした統合型リゾート(IR)への進出を目指し、複数の海外事業者と共同事業に向けて交渉をはじめた。
コメント
USJが本拠を置く大阪では、府と市が大阪湾の人工島・夢洲(ゆめしま)地区をカジノ誘致の候補地として検討している。
しかし、市とUSJは市が同社に貸している土地の賃料値上げをめぐって係争中であり、USJがIR参入を計画していると報じられた直後の7月初旬に、橋下市長がUSJ経営者と信頼関係はない、他の業者にやってもらいたいなどと発言しており、大阪でのIR事業参入は難しそうに思える。
大阪市が検討するIR事業とは、Integrated Resort (統合型リゾート)の略。一般的には、会議・展示施設、ホテル、ショッピングモール、レストラン、劇場、アミューズメントパーク、カジノ等が一体となった複合観光集客施設と定義されることが多い。USJはカジノ運営自体には、実績もなく能力不十分とも思えるが、開業後の低迷から様々な企画を打ち立て再建してきた実績、施設運営のノウハウを活かして複合観光集客施設運営のリーダー的な役割を果たしていく力はあると考えられる。来年1月には「新世紀エヴァンゲリオン」や「進撃の巨人」など日本発の4つの人気アニメや漫画などをテーマにした新アトラクションをオープンする。これが成功すれば、さらにUSJの勢いは加速し、参入に向けて明るい兆しが見えてくる。
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