世界初。日米が特許出願の協働調査を8月より開始。
2015/05/22 知財・ライセンス, 特許法, その他
事案の概要
特許庁と米国特許商標庁は、平成27年8月1日から日米協働調査を開始することに、5月21日合意した。特許の協働調査は世界初となる。
日米協働調査の内容だが、具体的には、日米両国に特許出願した発明について、日米の特許審査官がそれぞれ調査を実施し、その調査結果及び見解を共有した後に、それぞれの特許審査官が、それぞれ早期かつ同時期に最初の審査結果を送付するというものとなる。
その特徴として以下の三点が挙げられる。
⑴ 各国の特許審査官が独立して審査する点では、今までと変わらないが、審査結果を大きく左右する先行技術調査の結果とそれを踏まえた特許性の判断を、日米の特許審査官が審査前に共有する点で、従来と大きく異なる。この結果、後の侵害訴訟や無効審査においても、自社の特許発明を根拠づける特許性判断に両国でブレが生じず、強く安定した特許権となる。
⑵ また、審査申請から審査結果の送付まで、日本国内では平均10ヶ月かかっていたところ、特許庁資料によると、日米協働調査においては平均6ヶ月になると明示されている。
⑶ 更に、日本での出願同様、日米協働調査においても、技術的に関連する発明についてまとめて出願することが可能である。アメリカが日本の方式に併せたものであり、広く複数の発明を出願することがより簡便になるといえる。
このように、企業は、日米協働調査を受けられれば、①日米間で情報が共有された強く安定した特許権の実現、②審査期間の短縮などの恩恵を得られる。
コメント
法務担当者は、自社の発明を万全な根拠資料に基づき早く世に出すためにも、日米協働調査について検討する必要がある。自社の発明が日米協働調査を受けられるか、受けるにはどうすればよいか、未だ公表されていない参加申請の形式やその制限に関する特許庁の今後の動向に注視することが求められる。
関連サイト
新着情報
- セミナー
- 石黒 浩 氏(大阪大学 基礎工学研究科 システム創成専攻 教授 (栄誉教授))
- 安野 たかひろ 氏(AIエンジニア・起業家・SF作家)
- 稲葉 譲 氏(稲葉総合法律事務所 代表パートナー)
- 藤原 総一郎 氏(長島・大野・常松法律事務所 マネージング・パートナー)
- 上野 元 氏(西村あさひ法律事務所・外国法共同事業 パートナー)
- 三浦 亮太 氏(三浦法律事務所 法人パートナー)
- 板谷 隆平 弁護士(MNTSQ株式会社 代表取締役/ 長島・大野・常松法律事務所 弁護士)
- 山口 憲和 氏(三菱電機株式会社 上席執行役員 法務・リスクマネジメント統括部長)
- 塚本 洋樹 氏(株式会社クボタ 法務部長)
- 【12/6まで配信中】MNTSQ Meeting 2024 新時代の法務力 ~社会変化とこれからの事業貢献とは~
- 終了
- 2024/12/06
- 23:59~23:59
- 業務効率化
- ContractS CLM公式資料ダウンロード
- 業務効率化
- LAWGUE公式資料ダウンロード
- 解説動画
- 岡 伸夫弁護士
- 【無料】監査等委員会設置会社への移行手続きの検討 (最近の法令・他社動向等を踏まえて)
- 終了
- 視聴時間57分
- 弁護士
- 松田 康隆弁護士
- ロジットパートナーズ法律会計事務所
- 〒141-0031
東京都品川区西五反田1-26-2五反田サンハイツビル2階
- まとめ
- 今年秋施行予定、改正景品表示法の概要2024.4.25
- 昨年5月に成立した改正景表法が今年秋に施行される見通しです。確約手続きの導入や罰則規定の拡大...
- 解説動画
- 加藤 賢弁護士
- 【無料】上場企業・IPO準備企業の会社法務部門・総務部門・経理部門の担当者が知っておきたい金融商品取引法の開示規制の基礎
- 終了
- 視聴時間1時間
- ニュース
- 「選択的夫婦別姓」、立民が法案提出へ 公明・国民民主も前向き2025.1.16
- NEW
- 秋の総裁選でも注目された、「選択的夫婦別姓制度」。立憲民主党が同制度の導入を目指し、必要な法案...
- 弁護士
- 目瀬 健太弁護士
- 弁護士法人かなめ
- 〒530-0047
大阪府大阪市北区西天満4丁目1−15 西天満内藤ビル 602号