家電をネットで繋ぐ未来 セキュリティ対策は?
2015/05/25 コンプライアンス, 情報セキュリティ, 民法・商法, その他
事案の概要
政府は、IoT(Internet of Things)の安全対策を重視し、サイバー攻撃に備えた安全指針を各業界と協力してつくるサイバーセキュリティの戦略案をまとめた。今月25日、政府のサイバーセキュリティ戦略本部の会合で示す予定である。これは、IoTに対応したものとしては初めての戦略である。
IoTとは
IoT(Internet of Things)は日本語で、「モノのインターネット」の意味である。従来のIT機器だけでなく自動車、家電、工場の生産設備等多種多様なモノとモノがインターネットで繋がり、情報を自動で交換・分析し相互に制御するという概念である。例えば、家電の利用状況を通信機器に転送し高齢者の生活を見守る仕組みや、自動車が自宅敷地内に入ったら自動でエアコンのスイッチが入る仕組みが挙げられる。パナソニックは、IoT活用し、太陽電池や蓄電池を連携させた電力管理システムの構築や、冷蔵庫やオーブンレンジを連携させ、冷蔵庫内の食材でできるレシピを提案し、レンジの加熱を最適に制御することなどを目指している。
2020年には、世界で500億ものモノがインターネットに繋がる見込みである。
問題点
あらゆるモノ同士がインターネットで繋がり便利になる反面、インターネットを経由して電力を何者かにコントロールされるような事態が想定される。現時点でも、医療器具の通信データが読みとられ患者や診療の情報が流出した事例や、不正操作により自動車100台以上で盗難を防止する警報が一斉に鳴った事例があるという。IoTを活用した自動車、家電、医療機器等がサイバー攻撃された場合、人命にかかわる重大な損害が発生する危険性がある。
対策
トヨタ自動車は富士通とハッキング対策を研究開発しており、パナソニックも自動車の電子制御システムを守る技術の開発に乗り出している。これまで、IoTに関する安全対策は、このように各企業が製品に合わせて対応しているにとどまり、業界で統一された方針はなかった。
今回政府は、業界と連携してIoTの安全対策を指針としてまとめ、必要な技術開発や実証実験に対する費用助成など製品の設計・開発段階からの安全対策を組み込む方針も示し、安全対策の底上げを図る。また、サイバーセキュリティ関連産業の支援による専門家の育成、10月のマイナンバー制度導入に向けた地方自治体への支援、公衆無線LANなどの安全確保も検討している。
コメント
IoT技術の革新に伴い、既存の対策では対処しきれないサイバー攻撃も想定される。しかし、各機器メーカーはITとは全く別業界であるため、ソフトウェアセキュリティ対策に対してはほとんどノウハウがないという。
10月のマイナンバー制度導入や2020年の東京オリンピックなどもあり、セキュリティに対する意識が高まっている。より良いセキュリティ対策は企業の競争優位性にも繋がる。各メーカーについても、セキュリティ対策ノウハウの早期確立が望まれる。
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