職務発明の特許「企業のもの」に
2015/07/13 知財・ライセンス, 特許法, その他
今月3日、改正特許法案が参議院を通過し、来年2016年の7月までに施行されることとなった。
これまで、従業者が会社の職務に関して行った発明(職務発明)については、従業者が特許を受ける権利を取得し、その権利または取得された特許権を会社が譲り受けるという形で、会社は特許権を取得していた。
しかし、産業界からは企業が設備や資金を投資しているにもかかわらず、権利を従業員から譲り受けなければならないことについて不満が噴出し、かねてより特許法の改正が求められていた。
今回の改正によって、特許を受ける権利を企業に帰属することを契約、規則に定めた場合には、特許を受ける権利を従業者を介することなく会社に帰属させることができるようになる。もっとも、その場合であっても、現行の特許法の下で会社が従業者から特許を受ける権利が譲渡される場合と同じく「相当の対価」(改正法上「相当の利益」)の支払いが必要となる。
「相当の利益」については、企業の内部基準や協議状況等を加味して、不合理と認められるものであってはならないとされ、不合理な経済的利益しか得られなかった場合には、別個経済的利益を会社に請求することが認められるなど、旧来の仕組みがおおむね承継された形となる。改正法では、「相当の利益」の内容の決定について従業者からの意見の聴取の状況を考慮することが、新たに明文で加えられた。
今回の改正の結果、企業が当初より特許を受ける権利を取得することによって、特許権の帰属をめぐる企業と従業者の争いは解消され、今後の争いは「相当の利益」に集約されると考えられる。企業としては、相当の利益の決定の基準の策定や従業者との協議の在り方の見直しが求められる。
関連コンテンツ
新着情報
- 弁護士
- 片山 優弁護士
- オリンピア法律事務所
- 〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内一丁目17番19号 キリックス丸の内ビル5階
- セミナー
- 大橋 乃梨子 弁護士(弁護士法人GVA法律事務所 /東京弁護士会所属)
- 【オンライン】事業譲渡における法務DDの着目ポイント ~取引契約の規定内容を中心に~
- 終了
- 2024/11/29
- 12:30~13:00
- 業務効率化
- Legaledge公式資料ダウンロード
- ニュース
- 日本製鉄がUSスチール買収巡り米政府を提訴、禁止命令の無効など求める2025.1.17
- NEW
- アメリカのバイデン大統領は1月3日、日本製鉄株式会社のUSスチール社買収計画を禁止する命令を出...
- まとめ
- 株主総会の手続き まとめ2024.4.18
- どの企業でも毎年事業年度終了後の一定期間内に定時株主総会を招集することが求められております。...
- 業務効率化
- クラウドリーガル公式資料ダウンロード
- 解説動画
- 岡 伸夫弁護士
- 【無料】監査等委員会設置会社への移行手続きの検討 (最近の法令・他社動向等を踏まえて)
- 終了
- 視聴時間57分
- 弁護士
- 平田 堅大弁護士
- 弁護士法人かなめ 福岡事務所
- 〒812-0027
福岡県福岡市博多区下川端町10−5 博多麹屋番ビル 401号
- 解説動画
- 江嵜 宗利弁護士
- 【無料】今更聞けない!? 改正電気通信事業法とウェブサービス
- 終了
- 視聴時間53分