「オレオ」から考える商標とライセンス契約
2016/08/15 商標関連, 知財・ライセンス, 商標法, 食料品メーカー
ヤマザキナビスコはモンデリーズ・インターナショナル社との商標ライセンス契約が終了することに伴い、平成28年8月31日付けで看板商品である「リッツ」、「オレオ」等の4品目の販売を終了します。それにより、年間売上高の約4割に当たる150億円もの商品を失うことになります。そこで、今一度商標やライセンス契約について考えたいと思います。
事案の概要
ヤマザキナビスコはモンデリーズ・インターナショナル社との間でライセンス契約を締結し、「ナビスコ」ブランドの使用許諾を受けるとともに、「オレオ」、「リッツ」、「プレミアム」および「チップスアホイ」の4ブランド製品の技術および商標の使用許諾を受けてビスケット、クラッカーの製造販売事業を展開していました。ヤマザキナビスコは、モンデリーズ・インターナショナル社とのライセンス契約を平成28年8月31日の契約満了日をもって終了させることを決定し、これに伴い、ヤマザキナビスコは、同年9月1日をもって商号をヤマザキビスケット株式会社に変更するようです。(「ヤマザキ・ナビスコ㈱のライセンス契約終了に伴う商号変更等のお知らせ」(pdf)より)
商標
商標とは、「人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音」等をいう(商標法2条1項柱書)
商標権の重要性
(1)自他商品識別機能
まず、一番基本的な機能として、商標を使用することにより、自社の商品と他社の商品を識別することが出来ます。
(2)出所表示機能
次に、商標があることにより当該商品をどの会社が販売しているかということが判明し、商品の出所が表示されることになります。
(3)品質保証機能
商標が使用されている商品が一定の売上をあげることにより、商標がブランド力として働くこととなって、当該商品に関して品質保証がなされることになります。
(4)宣伝広告機能
そして、品質保証機能が果たされている商標はその商標自体が経済的価値を持つに至り、第三者からの利用の観点から宣伝広告としても機能することになります。
ヤマザキナビスコにおいても、「リッツ」、「オレオ」といった商標は日本で多くの人に親しまれており、その名称から、「リッツ」、「オレオ」に対する品質の保証がなされているといえます。
また、サッカーのタイトルカップで有名な「ヤマザキナビスコカップ」はまさに宣伝広告機能としての商標の代表例でしょう。
このように、商標は商標はビジネスにおいて非常に重要な役割を果たしています。
ライセンス契約
ライセンス契約とは、使用許諾契約のことをいいます。
ヤマザキナビスコはモンデリーズ・インターナショナル社との間で「商標」及び「技術」に関するライセンス契約を締結していました。ここでいう「技術」とは、製造に関する技術を指すものと考えられ、「リッツ」、「オレオ」等を今までの製法によって作ることの許諾も含まれています。また、これらのライセンス契約に付随して競業商品販売の禁止も合意内容に含まれていることが公式発表文書(pdf)からうかがえます。
同文書をみると、平成29年12月1日以降は競業商品の販売禁止が解かれるようです。このような競業商品の販売禁止の期間もライセンス契約の締結過程において熟考する必要があると思われます。
さいごに
商標やライセンス契約は企業戦略に大きな影響を及ぼす重要な事項です。今回のヤマザキナビスコの事例は、商標や技術のライセンス契約及びそれに付随する合意内容について、今後の企業展開を十分に考慮しながら対応していくことが求められていると、改めて感じさせられるニュースであったと思います。
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