消費者庁、特商法違反のソーラーパネル販売業者3社に行政処分
2022/06/05 コンプライアンス, 特定商取引法
はじめに
消費者庁は、2022年5月26日、ソーラーパネルの訪問販売業者であるサンパワージャパン合同会社(本店所在地:大阪府大阪市)株式会社M&i(本店所在地:東京都千代田区)、株式会社A・LIKE(本店所在地:東京都中央区)の三社に対して、訪問販売に関する業務の一部を9か月間停止するよう命じました。三社は連携共同しながら、消費者に販売したソーラーパネルをリース(賃借)した上で、当該ソーラーパネルが生んだ電力を電力会社に売却し、売電収入からリース料を支払うという名目で役務の提供を行っていたとのことです。今回は、この消費者庁の行政処分の経緯や具体的な内容について紹介していきます。
行政処分の背景
3社は高齢者らにソーラーパネルを訪問販売し、パネルを預かって発電収入からリース料を支払うとしておきながら、実際は支払っていなかった実態が明らかにされました。これを受けて消費者庁は27日、3社に特定商取引法違反(不実告知など)で9か月の業務停止を命じています。発表によれば、3社はソーラーパネルを1枚あたり10万円で販売しており、売買によって得た収入から最大年利7・5%のリース料を支払うとうたい、高齢者を中心とした消費者に勧誘していました。しかし、少なくとも2019年8月からは、売電収入からリース料を支払っておらず、勧誘内容と実態に乖離が見られました。また、遅くとも2020年3月以降、リース料の一部の支払いを拒否するなどの対応をしており、消費者から消費者庁へ相談が寄せられていました。
消費者から消費者庁への相談・苦情の内容
消費者庁によると、「もらえるはずのリース料が支払われない」「解約したいのに応じてもらえない」といった趣旨の苦情・相談は2018年からの4年間続き、全国19都道府県の消費生活センターに計106件寄せられていたといいます。また、相談者の80%以上が70歳以上だったため、高齢者を中心に勧誘がおこなわれていた実態が明らかになっています。2015から2021年の3社のソーラーパネルの売り上げは14億円以上となり、購入者は350人程度いたとのことですが、実態は消費者を裏切るような取引でした。
消費者庁のその他の対応
消費者庁は、サンパワージャパン、エムアンドアイ・ア・ライクの3社に対し、特定商取引法第7条第1項の規定に基き、再発防止策を講ずること、コンプライアンス体制を構築することなどを指示しています。また、サンパワージャパンの代表社員斉藤健吾氏、エムアンドアイの代表取締役の小松昌宏氏、ア・ライクの代表取締役の佐藤俊介氏に対し、特定商取引法第8条の2第1項の規定に基づいて、令和4年5月27日から令和5年2月26日までの9か月間、記業務停止命令により業務の停止を命ずる範囲の業務を新たに開始することの禁止を命じています。
コメント
商品を販売して預かり、第三者に貸すなどして運用した利益を還元することを消費者に約束する商法のことを「販売預託商法」と呼びます。販売預託商法は以前までは普通に行われていましたが、経営破綻をした「ジャパンライフ」の問題などをきっかけに預託法が改正され2022年6月以降、原則禁止とされています。消費者庁では販売信託商法に関するトラブルについて消費者向けにパンフレットを作成し、「高い利率による利益配当や、元本保証をうたって勧誘」「預かった商品の運用による利益はほとんどない」などの特徴がこれに該当するとし、注意を呼び掛けています。
消費者庁・独立行政法人国民生活センター・警視庁|悪質な「販売預託商法」によるトラブルにご注意ください!
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