【景表法】消費者庁、北海道産地直送センターに措置命令
2022/08/03 コンプライアンス, 広告法務, 消費者契約法, 景品表示法
はじめに
消費者庁は、2022年7月29日、株式会社北海道産地直送センターに対し、景品表示法違反(第5条第2号:有利誤認)を理由とした措置命令を行った旨、文書にて発表しました。文書では、措置命令までの流れや違反と認定された具体的な表示内容、措置命令の概要などが詳細に記載されています。
消費者庁に認定された事実について
株式会社北海道産地直送センターは、全国の特産品と提携先観光施設のPR・販売促進活動をメイン事業とする会社で、「産地直送センター」という名のECサイトを運営しています。その「産地直送センター」で販売した商品に対し、景品表示法違反となる表示がなされておりました。具体的には以下となります。
(1)34件の食品について、「通常価格」と「販売価格」を併記。それにより、あたかも「通常価格」と称する価格が自社ウェブサイトにおいて通常販売している価格のようであるかのように見せ、「販売価格」が通常販売している価格に比して安いかのように表示していました。ところが、実際には本件に関する34商品の「通常価格」と称する価額は、自社ウェブサイトにおいて販売された実績のないものであったと指摘されています。
(2)また、地上波放送を通じて放送された番組内で販売された食品3件について、
これら一連の表示により、あたかも「通常」と称する価額が3商品それぞれの通常販売価格を足し上げた価格であるかのように見せ、通常販売している価格を足し上げた価格に比べて安いかのように表示していました。しかし、実際には3商品に含まれる商品の過半は弊社において販売実績がないものでした。さらに、3商品の購入者に対して「プレゼント」と称する商品を無償で提供するかのような音声に関しても、実際はこれらの販売価格は「プレゼント」と称して提供する商品の価格を含むものであり、「プレゼント」と称する商品は無償で提供されるものではなかったことも指摘されています。
措置命令の内容
北海道産地直送センターが受けた措置命令の概要としては、次の4つです。
①前記事実につき、消費者庁長官の承認を受けた方法にて一般消費者に周知徹底すること
②今後、本件商品または同種の商品の取引に関し、同様の表示が行われることを防止するために必要な措置を講じ、それを役員及び従業員に周知徹底すること
③今後、本件表示と同種の商品に関し同様の表示を行うことにより、当該商品の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示をしないこと
④ 前記①に基づいて行った周知徹底および前記②に基づいてとった措置を文書によって消費者庁長官に報告すること
コメント
北海道産地直送センターでは、今回の措置命令を受けて今後、(1)表示の修正と改善、(2)消費者庁の承認を得た上で大手全国紙二社の朝刊に社告を掲載し周知を行うこと、(3)再発防止策の実行などに取り組むと表明しています。その上で、具体的な再発防止策としては、
①表示物チェック体制の強化として今後、表示情報を社内の管理担当部署に集約し、厳密なチェックを行うよう徹底すること
②表示の根拠情報管理の強化として表示の根拠となる資料の管理・共有を強化し、商品価格・販売期間を統一的データベースにより管理できるようシステム面の改善をめること
③役員ならびに従業員の教育・研修として全役員ならびに従業員に本件事案の内容について周知徹底すること
を掲げています。
上記再発防止策を見る限り、今回の広告表示には法務機能の介在が十分に為されていなかったことが推察されます。その意味で、広告法務の重要性、景品表示法関連のコンプライアンスの徹底の重要性が浮き彫りとなった事例と言えるでしょう。
北海道産地直送センターでは、今後、全役員および表示に関わる全従業員に景品表示法の考え方や違反事例について、社内勉強会・ミーティング・研修会の開催等を通じ継続的に教育・研修を実施するとともに、法令遵守の方針と遵守のための手順を明確化を進めていく予定とのことです。同社の今後の再発防止策に注目しましょう。
【関連リンク】
株式会社北海道産地直送センターに対する景品表示法に基づく措置命令について(令和4年7月29日)
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