フジテレビ新ドラマ「新宿野戦病院」、登場人物の性別紹介に批判集まり訂正
2024/06/24 コンプライアンス, エンターテイメント
はじめに
フジテレビの新ドラマ『新宿野戦病院』の公式サイトで、登場人物の紹介文に「ジェンダーアイデンティティ」という用語が用いられ、議論を呼びました。この用語について、言葉としての使い方が違うといった声や、そもそも性的マイノリティーに関する企業の認識が低いのではないかという指摘が相次いだといいます。
「男か女か分からない」表記に批判
宮藤官九郎さんが脚本を務める株式会社フジテレビジョンの新ドラマ「新宿野戦病院」。
新宿・歌舞伎町の病院を舞台に、“ワケあり”な人物たちが登場する“命”をテーマにした救急医療エンターテインメント作品です。
7月3日からのドラマ放送開始に先立ち、公式ホームページやSNSで登場人物などが公開されました。
物議を醸したのは、登場人物の1人である俳優・塚地武雅さん演じる看護師長 堀井しのぶの紹介文でした。紹介文では、堀井しのぶの性別について、「男か女か分からない」と記載。SNSでは「セクシャリティーで笑いをとっているのではないか」などと批判が集まりました。
フジテレビは批判を受けて「男か女か分からない」という部分を、「ジェンダーアイデンティティ」という用語に訂正。しかし、「ジェンダーアイデンティティ」という用語も、すぐに削除されることになりました。この用語が、特定の単一の性別を指すものではなく、本人の性自認・帰属意識(自身の性別が男性的・女性的・それ以外のどれに該当すると認識しているのか又はそれらとどの程度の同一性を有すると認識しているのか)を示す概念であるため、日本語としての使い方が間違っているという指摘が上がったためです。
2024年6月24日現在、公式ページでは看護師長の紹介文の中にジェンダーに関する記載はなくなっています。
フジテレビは、記載を削除・修正したことについて、一部のメディアからの取材に、「文章表現に誤りがあったため、修正した」と回答しています。
過去には東急ハンズも性別に関する表現で炎上
性別に関する表現を巡っては、2022年に、株式会社ハンズが展開する雑貨店「東急ハンズ」が、同性愛者を嘲笑しているとして炎上しました。
投稿は2022年6月12日。
「私がいるところにはゴリラゲイ雨は来てません!ゴリラゲイ雨が来たらちょっと困るけど、ゴリラゲイ雨を見てみたい気もする。……はい、ゴリラゲイ雨って言いたいだけです」という内容でした。
“ゴリラゲイ雨”というネット用語は、2008年ごろに登場したと言われており、局地的な大雨を指す“ゲリラ豪雨”から派生したものだとされています。
東急ハンズがこの投稿を行った時期は、ゲリラ豪雨が各地で発生しており、当時、Twitter(現・X)でその言葉がトレンド入りしていたとみられています。
しかし批判が相次ぎ、東急ハンズ側は、投稿の数時間後には該当する投稿を削除。「差別的な意図は念頭になく投稿したものではありますが、発信に当たっての確認が不十分でした」と説明し、謝罪しています。
コメント
ひところは、テレビなどでも同性愛者を揶揄するような表現が横行していましたが、当時は問題提起されることは多くありませんでした。しかし、当時から、自身の性別に関して悩みを抱える人は多数存在していて、そうした表現に傷ついていた人は少なくなかったと想像されます。
近年、国内でもLGBT理解増進法が2023年に施行されたのをはじめ、ジェンダー問題への意識が徐々に見直されています。
しかし、この法律の制定の際も、条文上、「ジェンダーアイデンティティ」という表現を用いるのか、「性自認」という表現を用いるのかで与野党間で議論が生じるなど、性別に関する表現については、非常にデリケートな問題を抱えています。
そんな中で起こった、今回のフジテレビの性別表現問題。使用される用語や用語についての特定の解釈の浸透により、生きづらさを感じる人がいます。
会社全体として、社会が抱える問題につぶさに目を向け、意識をアップデートしながら、慎重に情報発信を行う必要があります。
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