コンプライアンスって何かご存知ですか?
2011/07/07 労務法務, コンプライアンス, 労働法全般, その他
概要
職場のコンプライアンス(法令順守)違反を指摘した報復に自宅待機を命じ、月数万円の休業手当しか支払わないのは不当だとして、飲食関連企業の男性社員が5日、未払い賃金と慰謝料100万円の支払いを求める訴訟を大阪地裁に起こした。
考察
先日も当ニュースに掲載された事件だが、今回はどうすればコンプライアンスが日本社会に根付くのかという視点で考えていきたい。
問題の所在
この事案から見えてくるのは、日本企業にはまだコンプライアンスが定着しているとは言えないということである。日本企業のコンプライアンス意識が高まったのは、企業の不祥事が社会的に問題となったことによる。それ以降の日本企業の多くはコンプライアンス体制を敷いたが、形だけコンプライアンス体制を敷く企業が多い。コンプライアンスで求められるのは、法令のみならず社会常識にも違反しない行動である。つまり、実質を伴っている必要があり、コンプライアンスという看板を掲げているだけでは意味がないのである。それにもかかわらず、社会的批判をされないようにという消極的理由でコンプライアンスを掲げてるだけの企業が多いと思われる。コンプライアンスをわかっていないと言われても仕方ない。
今後の方向性
では、企業はいかなるコンプライアンス体制を敷くべきか。企業ごとに事情は異なるため一概には言えないが、重要なキーワードとして「自浄作用」が挙げられよう。第三者は内部事情に精通していないため、内部の人間が自らを律することが必要となるからである。そして、自浄作用を機能させるためには、風通しの良さが不可欠である。今回の事例のように、権力者が圧力をかけたのでは従業員が萎縮してしまい自浄作用は機能しない。そこで、コンプライアンスを掲げる企業は内部通報システムをしっかりと整備すべきである。また、裁判所には、内部通報を理由に従業員を不利に扱った場合には、企業に厳しい判断をすることを求めたい。以上のように、社会全体として自浄作用が機能するような制度設計をすることによって、日本にもコンプライアンスが定着するものと考える。
【関連リンク】
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