彼氏追跡アプリ「カレログ」とは?
2011/09/20 法務相談一般, 民法・商法, 個人情報保護法, IT
1.事件の概要
8月30日にサービス提供が始まった「カレログ」。
そのサービス内容から、その名は瞬く間に知れ渡り、総務省が問題点を検討する旨を言及するにまで至っている。
本サービスは、恋人のスマートフォンに「カレログ」をインストールすると、その恋人の現在位置・通話記録・バッテリー残量などを把握できるようになるというものである。
当然、利用には情報を晒される本人の同意が必要であるが、スマートフォンの画面上で手続きは完了するため、恋人が気づかぬ合間にインストールしてしまうことも可能である。多くの批判が寄せられ、現在では通話記録を把握するサービスは停止されたが、今なお違法性を考えるべき余地は残っている。
2.雑感
本サービスの内容に恐怖する人は多いだろう。何せ現在位置・バッテリー残量まで把握されてしまうため、恋人からの「なぜ電話に出ない?」との問い掛けに、「電池が切れていた」と言い訳することもできなくなってしまう。
このような恐ろしいサービスを利用する人など少ないと思われるかもしれないが、現実に数千人が既に利用しており、需要があることが証明された。
需要があることは競合他社の発生可能性を意味し、今後のさらなる広がりも懸念される。
本サービスの特長は、一応「同意」が前提となっていることである。当然「同意」が真意に基づいているのなら、プライバシー権は放棄されており、適法となる。他方、恋人が勝手にインストールしたなら、同意はなく、違法性は強まるわけだが、この両者を企業側が把握する仕組みがない。
本サービスの目的は本来、恋人の浮気に悩む人の救世主にもなることであろう。しかし、事実プライバシーの権利が過度に侵害され得るし、ストーカー行為等の犯罪に利用され得ることは、容易に予想される。
問題は「犯罪に利用し得るサービス」がどこまで制約されるべきかである。新たなサービスの提供に一定の法的リスクが伴うことはある意味前提となっており、それを弾圧する傾向が日本の技術革新を制限していることも事実である。
「彼氏追跡なんて下らない技術」との意見が、今後の技術革新を阻害する可能性もゼロではない。技術大国日本にとって、技術で他国に遅れることは大きな損害を生むだろう。
両者の利益を最大化する方法の模索は、今後常に課題となるだろう。
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