菅元首相の証人喚問も!?福島第一原発事故調、国会に設置
2011/09/30 法改正対応, 法改正, その他
1.調査委員会の設置経緯
東京電力福島第一原発事故の検証を目的として、国会に有識者の事故調査委員会と衆参国会議員の両院合同特別協議会を設ける「東京電力福島原発事故調査委員会設置法」と改正国会法が、30日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。
次の臨時国会から、国会の付属機関として、同調査委員会が設置されることになる。
委員会の構成は、民間委員10人となり、委員会の上部機関である協議会のメンバーが選定する。従来の原子力・放射線分野の学識経験者は除く方針。
すでに政府が設置した「事故調査・検証委員会」(委員長:畑村洋太郎東大名誉教授)があったが、今回は国会が主体になって設置した。
背景には、政府設置の委員会では権限があいまいで、会合も非公開が多く、納得できる原因究明が行われるまでに時間がかかるという事情がある。
国会内に、民間委員で構成される委員会が設置されるのは、憲政史上、今回が初めてとなる。
2.菅元首相の証人喚問もあり得る?
東京電力福島原発事故調査委員会(以下、「事故調」とする。)は、国会議員の集まりである協議会に、国政調査権の行使を要請することができる。
国政調査権が行使されれば、議院証言法により、強制的に証人喚問や記録提出要求ができるため、委員会の決定には強い権限があると言える。
今後、菅元総理や海江田元経済相、東電幹部らの証人喚問や、東電への記録提出要求がされると予想されている。
3.納得できる原因究明を
事故当時政権を担当した民主党は、委員会の設置に慎重だった。しかし、予算委員会で野党との対決が深まり、打開案として今回の設置可決を選択した。
委員会設置に積極的な自民党も、無傷でいられる保障はない。原子力政策は自公政権時代も進められてきたものであり、自民党の政治家の関与も深いからだ。
今後、委員会が与野党の駆け引きに使われるのではないかとの予測も出ている。
しかし、史上初という委員会設置に国民が期待するのは、徹底した情報公開である。証人喚問が与野党の政治的な攻防に使われるようなことがあれば、国民の失望は更に増すだろう。
逆に、必要な情報が公開され、事故の全容が解明されれば、国民の政治家への信頼が回復する一要素になるだろう。また、原子力政策に関する議論に確実な資料が提供されることになり、日本だけでなく海外の政策決定の参考にもなる。
委員会には、ぜひ中立的立場を貫き、徹底した情報公開を実現し、国民の納得の行く原因究明がされるよう努めていただきたいと願う。
【参考記事・サイト】
- 日本経済新聞2011年09月30日朝刊2面「国会事故調 強い権限」
- asahi.com(朝日新聞社):原発事故調設置法が成立 次の臨時国会で設置 - 政治(リンク切れ)→アーカイブ
- 東京新聞「福島第一検証 原発事故調 法案を可決」(リンク切れ)
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