会社法改正? 社外取締役の設置義務化も
2011/12/09 商事法務, 法改正, 会社法, その他
法制審議会は12月7日の会社法制部会で、会社法改正の中間試案をまとめた。オリンパス、大王製紙などの不祥事もあって、コンプライアンス強化のために社外取締役設置の義務化などを進める方針だ。
社外取締役とは、株式会社の取締役であって、現在及び過去において、当該株式会社またはその子会社の代表取締役・業務執行取締役もしくは執行役または支配人その他の使用人ではないものをいう。現行法では①取締役会設置会社において特別取締役による議決の定めをする場合、取締役の1名②委員会設置会社における各委員会の取締役の過半数 が社外取締役であることを義務付けられている。
だが会社法改正案ではそれ以外の場合にも最低1人以上の社外取締役を選任することを義務付ける方針だ。その義務を負う会社として、具体的には「監査役会設置会社で会社法上の大会社」とする案と、「有価証券報告書提出義務のある会社」とする案があるという。
社外取締役の設置がコンプライアンス強化を有効だとされているのは、外部から経営者を連れてくることによって会社内部の不合理な慣行、なれ合いなどを阻止できると考えられていることによる。欧米では社外取締役の設置が義務化されているところもあり、海外の投資家からは同様の制度を望む声も上がっているという。法令違反が会社の存亡すら左右するようになった現代では、コンプライアンスは投資家にとって非常に重要な関心事であるようだ。事実、オリンパスの不祥事を受けて、日本企業全体の株価に対する懸念も指摘された。企業不祥事の影響は経済全体に及ぶおそれすらある時代である。
だが経営陣の権限に歯止めをかければ、それだけリーダーシップが弱まることも考えられる。経済会からは機動的な経営を妨げるとの反対論も出されており、義務化の見送りを内容とする案もあるという。
企業が法令に違反することなく、迅速に活動できれば言うことはない。だがその両立は容易ではないようだ。
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