育児・介護休業法、男女雇用機会均等法改正ポイントまとめ
2016/09/28 労務法務, 労働法全般, その他
改正育児・介護休業法、改正男女雇用機会均等法が、2017年1月1日に施行されます。
介護をしながら働く方や、有期契約労働者の方が介護休業・育児休業を取得しやすくなるようにとの趣旨で改正されました。
それでは、法改正に伴い現行法の内容がどのように改正されるかのポイントをまとめてみたいと思います。
(1)介護休業の分割取得
介護休業とは、労働者(日々雇用雇用者を除く)が、要介護状態(負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態)の対象家族を介護するための休業をいいます。介護を必要とする家族(対象家族)の範囲は、配偶者(事実婚を含む)、父母、子、配偶者の父母、また、同居し、かつ、扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫です。
→対象家族の範囲を、同居・扶養していない祖父母、兄弟姉妹及び孫も追加
■現行内容
対象家族1人につき通算93日まで原則1回に限り取得可能
■改正内容
対象家族1人につき通算93日まで3回を上限として分割取得可能
(2)介護休暇の取得単位の柔軟化
要介護状態にある対象家族の介護その他の世話を行う労働者(日々雇用者を除く)は、
1年に5日(対象家族が2人以上の場合は10日)まで、介護その他の世話を行うための休暇の取得が可能です。
■現行内容
1日単位での取得
■改正内容
半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得が可能
(3)介護のための所定労働時間の短縮措置等(選択的措置義務)
事業主は、要介護状態にある対象家族の介護をする労働者に関して、対象家族1人につき、以下のうちいずれかの措置を選択して講じなければならないとされています。
①所定労働時間の短縮措置
②フレックスタイム制度
③始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
④労働者が利用する介護サービスの費用の助成その他これに準じる制度
■現行内容
介護休業と通算して93日の範囲内で取得可能
■改正内容
介護休業とは別に、利用開始から3年の間で2回以上の利用が可能
(4)介護のための所定外労働の制限(残業の免除)
■現行内容
なし
■改正内容
対象家族1人につき、介護の必要がなくなるまで、残業の免除が受けられる制度を新設
(5)有期契約労働者の育児休業の取得要件の緩和
■現行内容
有期契約労働者は、以下の要件を満たす場合に育休の取得が可能
①申出時点で過去1年以上継続して雇用されていること
②子が1歳になった後も雇用継続の見込みがあること
③子が2歳になるまでの間に雇用契約が更新されないことが明らかであるものを除く
■改正内容
以下の要件に緩和
①申出時点で過去1年以上継続し雇用されていること
②子が1歳6か月になるまでの間に雇用契約がなくなることが明らかでないこと(雇用契約があるかないか、不明な人でも可能)
※介護休業の取得要件
①申出時点で過去1年以上継続して雇用されていること、
②介護休業を取得する日から9か月経過する日(注1)までの間に雇用契約がなくなることが明らかでないこと
(注1)9か月経過する日とは、(介護休業を取得する日から93日経過する日)+(93日経過する日から6か月経過する日)のこと。
(6)子の看護休暇の取得単位の柔軟化
小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者(日々雇用者を除く)は、1年に5日(子が2人以上の場合は10日)まで、
病気、けがをした子の看護又は子に予防接種、健康診断を受けさせるための休暇の取得が可能です。
■現行内容
1日単位での取得
■改正内容
半日(所定労働時間の2分の1)単位での取得が可能
(7)育児休業等(注2)の対象となる子の範囲
■現行内容
法律上の親子関係がある実子・養子
■改正内容
特別養子縁組の監護期間中の子、養子縁組里親に委託されている子等も新たに対象
(注2)育児休業の他に、子の看護休暇、所定外労働の制限(残業の免除)、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置
(8)いわゆるマタハラ・パタハラなどの防止措置の新設
■現行内容
事業主による妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱いは禁止
■改正内容
上司・同僚からの、妊娠・出産、育児休業、介護休業等を理由とする嫌がらせ等(いわゆるマタハラ・パタハラなど)を防止する措置を講じることを事業主へ新たに義務付け。
派遣労働者の派遣先にも以下を適用。
・育児休業等の取得等を理由とする不利益取扱いの禁止
・妊娠・出産、育児休業、介護休業等を理由とする嫌がらせ等の防止措置の義務付け
リーフレット「育児・介護休業法が改正されます!-平成29年1月1日施行-」(PDF)
改正育児・介護休業法及び改正男女雇用機会均等法の概要 平成28年改正法の概要(PDF)
終わりに
以上述べた法律の改正は、企業内の就業規則を改訂して対応する必要がでてきます。
こちらのHPでは就業規則改訂の雛形例が挙げられています。
【平成29年1月1日施行対応】育児・介護休業等に関する規則の規定例〔簡易版〕(PDF)
【2017年1月施行】育児介護休業法、雇用機会均等法改正に伴う就業規則改訂の重要ポイント!雛形有り
こちらのHPでは対照表で改正内容をまとめています。
早わかり!育児介護休業法&均等法改正
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