浦安市の液状化、住民らによる訴訟が拡大
2012/08/17 訴訟対応, 民事訴訟法, 住宅・不動産
概要
千葉県浦安市の住民らが、東日本大震災で住宅に液状化被害が起きたのは宅地開発時に地盤対策を怠ったためだと主張して、三井不動産などを訴える動きが広がっている。
同社への訴訟は、2011年11月、3人(3戸)が1億2450万円の損害賠償を求めて東京地裁に訴えたのを初めとする。今年2月3月には、合計43人(38戸)が訴訟を起こしていた。さらに今月15日、新たに87人(54戸)が約19億6500万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。同社をめぐる訴訟の請求総額は、これで33億7350万円となった。
今回の原告は、三井不動産が1986年から販売を始めた住宅を購入した。大震災の震度5強の揺れで埋立地にある敷地が液状化して、家屋が傾くなどの被害が出たという。別事業者が販売した市内の住宅地は、地盤改良工事などが行われたため液状化していない。原告側は、液状化の発生は予見できたのに適切な地盤改良工事をせずに販売をしたのは不法行為にあたる、と主張している。
三井不動産側は、これまでの訴訟において、大震災とそれによる液状化現象が生じることは全く予想できなかったして、請求棄却を求めて争う姿勢を示している。
コメント
今回のように原告が被告の不法行為責任を追及する訴訟では、被害にあったと主張する原告が、被告である企業側に被害発生について予見可能性があったことを主張立証しなければならない。今回の原告である住民らが購入した埋立地は25年前に分譲されたものであり、これまでの訴訟の原告が購入した土地には30年以上前に分譲された土地も含まれている。当時の企業側に予見可能性があったことを主張立証するのには困難が予想される。最終的に原告側の請求が認容されるか、あるいは別の形で裁判が決着するか、今後の行方が注目される。
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