経団連、電子出版権の新設を提案
2013/02/18 知財・ライセンス, 著作権法, その他
概要
経団連は出版社などに著作権法上の権利を付与することを求める動きが広がっていることを受け、近く独自の法改正案を提案する。著作者と電子書籍の発行者が結ぶ契約によって生じる「電子出版権」の新設を求める内容で、契約を結んだ出版社などが、自らの判断で電子書籍の海賊版業者を訴えられるのが最大の特徴だ。出版社だけでなく電子書籍を発行する者すべてに契約で与えられる権利とし、異業種の参入も想定する。
電子出版権は、著作者との合意を前提とすることで作家らの権利も守れるという。文化庁や出版社など関係者に提案し、同意を求める方針だ。
参照条文
著作権法
(出版権の設定)
第七十九条 第二十一条に規定する権利を有する者(以下この章において「複製権者」という。)は、その著作物を文書又は図画として出版することを引き受ける者に対し、出版権を設定することができる。
2 複製権者は、その複製権を目的とする質権が設定されているときは、当該質権を有する者の承諾を得た場合に限り、出版権を設定することができるものとする。
(複製権)
第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。
(出版権の内容)
第八十条 出版権者は、設定行為で定めるところにより、頒布の目的をもつて、その出版権の目的である著作物を原作のまま印刷その他の機械的又は化学的方法により文書又は図画として複製する権利を専有する。
2 出版権の存続期間中に当該著作物の著作者が死亡したとき、又は、設定行為に別段の定めがある場合を除き、出版権の設定後最初の出版があつた日から三年を経過したときは、複製権者は、前項の規定にかかわらず、当該著作物を全集その他の編集物(その著作者の著作物のみを編集したものに限る。)に収録して複製することができる。
3 出版権者は、他人に対し、その出版権の目的である著作物の複製を許諾することができない。
コメント
著作権法には出版権の規定はあるが、電子出版権の規定はない。そこで、従来は出版社に権利がなかったため、作家が個人で提訴するなどの必要があり、海賊版が広がる一因となっていた。
海賊版の電子書籍に対し、出版社が差し止め請求や損害賠償請求などの対抗措置を行えるようになんらかの出版社への権利付与が求められていた。
このような中での経団連の提案は、電子書籍の普及にも大きく影響するであろう。
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