Suicaの履歴情報提供拒否、3万件超に
2013/09/05 コンプライアンス, 個人情報保護法, その他
事案の概要
JR東日本が、Suica(スイカ)の履歴情報を利用者に無断で企業に販売していた問題で、情報提供の対象者からの除外を希望する利用者が8月29日現在で3万45件に上ることが判明した。
JR東日本は、Suica利用者の承諾無しに、乗降駅、利用日時、運賃、利用者の生年月、性別のデータを日立製作所に販売していたところ、JR東日本に対して、約150件の苦情や問い合わせが寄せられた。
このことを受け、同社はデータ提供を希望しない利用者は対象から除外する方針を明らかにし、情報提供の拒否希望者に関するデータを削除することとし希望者を募ったところ、情報提供の拒否を希望する利用者が8月29日現在で3万45件に上ることが判明した。
コメント
今回の情報提供に関して、当初、JR東日本は、「SuicaのIDにはひも付いていないから、個人が特定できるようにはなっていない。つまり、個人を特定できないので、(販売しているデータは)個人情報に当たらない」として利用者に事前説明をしなかったとし、情報提供に関して事前に同意をとらなかった。
個人情報保護法では、個人情報取扱事業者は一定の場合を除いて本人の同意を得なければ、個人データを第三者に提供してはならないこととされている。個人データとは、個人情報データベース等を構成する個人情報のことであるので、提供情報が個人情報に該当しなければ情報提供に関して本人の同意は不要ということになる。
しかし、提供情報が個人情報に該当しないからと言って、当該情報がプライバシーの保護という観点から保護されるべき情報に当たらないとは言い切れない。今回、3万件以上に及ぶ情報提供の拒否があったことは、利用者がそのような認識を持っていることの表れといえる。
そうであるとすれば、今後、情報と提供しようとする企業は、個人情報保護法における規制の対象となっている個人情報に該当しないとしても、本人の意向に配慮したうえで情報を取り扱っていくといった丁寧な対応が求められそうである。
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