特定適格消費者団体が被害回復裁判手続を追行できる法案が成立
2014/02/28 法改正対応, 消費者取引関連法務, 消費者契約法, 法改正, その他
消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害を集団的に回復するための「被害回復裁判手続」の法改正が急務であった。
一段階目で、特定適格消費者団体が事業者の義務(対象となる消費者全体に共通する金銭を支払う義務)の有無について審理する。
二段階目で、第一段階で事業者の義務が認められれば、消費者の授権を受けた特定適格消費者団体が、事業者が消費者に支払うべき金額を吟味する。
施行は、公布日から3年以内である。経過措置により、施行前に締結された契約に関する請求には、適用しない。
適格消費者団体とは、消費者全体の利益擁護のために差止請求権を適切に行使することができる適格性を備えた消費者団体として、内閣総理大臣の認定を受けたものである。(消費者契約法第2条第4項)
認定を受けるためには、以下のような適格要件を満たしている必要がある。
・特定非営利活動法人又は民法34条に規定する法人であること
・不特定多数の消費者の利益擁護のための活動を主たる目的とし、その活動を相当期間継続して適正に行っていること
・体制及び業務規程が適切に整備されていること
・理事会の構成及び決定方法が適正であること
・消費生活の専門家及び法律の専門家が共に確保されていること
・経理的基礎を有すること
認定後は、内閣総理大臣による監督を受け、所定の情報公開措置が求められる。
コメント
この法案成立によって消費者は消費者契約に関して相当多数の消費者に生じた財産的被害について、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差により消費者が自らその回復を図ることには困難を伴う場合、適格消費者団体が訴訟し勝訴すれば、消費者は訴訟を起こさなくても被害を救済できる。
被害者は少額被害による訴訟不経済を理由に被害者個人の訴訟を控えてしまう。そこで、適格消費者団体が被害者に代わり訴訟を起こすことができる。泣き寝入りになってしまう被害者を救済することができる。しかし、適格消費者団体を増やしすぎると濫訴のおそれもある。
適格消費者団体の要件を厳格にすべきであり、今後の課題も残る。
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