不動産取引 ネットでも
2014/04/22   不動産法務, 民法・商法, 住宅・不動産

事案の概要

国土交通省は不動産の売買や賃貸をインターネットで行えるようにすることを検討している。

現行では、宅地建物取引業法で定められた不動産取引に関わる重要事項は購入予定者に対し対面で説明すること、契約内容を記載した書面を宅地建物取引主任者に記名押印させた上で交付することを義務づけているが、これをテレビ電話や電子メールで代替できるようにすることを検討している。

国土交通省は、模擬取引を行い、対面で行われた場合と比較して内容の理解度にどの程度の差が出るのか等の調査を行ったうえで具体案を検討し、2015年の通常国会に宅地建物取引法改正案の提出することを目指している。

コメント

ネットでの不動産取引が解禁されると、急な都合で遠方に転居しなければならず転居先に出向くことが出来ない場合や、障碍者や高齢者など不動産業者の店舗に出向くことが大きな負担となる人について、負担を軽減することが出来る。

また、インターネットにより重要事項の説明を受けることで、その内容を十分に理解する時間を確保でき、また自分以外の第三者に相談することなども可能となる。
不動産に関する契約の手続きは対面での重要事項説明が義務づけられているため、土日祝日などに集中しやすい。そのため重要事項等を説明する時間が十分に確保できないことも少なくない。対面で重要事項を説明を受けても、その内容を十分に理解するための時間が確保できなければ、対面での説明を義務づけた趣旨を全うし得ない。このような不都合も解消されると考えられる。

他方で、宅地建物取引主任者でない者によるなりすましや名義貸し等の違法取引をいかに防ぐのかといった課題もある。
宅地建物取引主任者に関する情報開示などの制度を整備をする必要があるかもしれない。

また、中小規模の不動産業者が厳しい状況に置かれる可能性も考えられる。完全にオンライン化した取引によって事業を効率化した不動産事業者が、手数料の引き下げを行えば値下げ競争が引き起こされ、中小規模の不動産業者は厳しい状況となることが予想される。
中小規模の不動産業者に対する一定の保護を考える必要性もあるかもしれない。

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